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近現代クラシック音楽愛好家の徒然草。

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2010.12.30 Thu » 「20世紀を語る音楽」読了

どうも、菊池裕介の弾くベートーヴェンのソナタ集第2巻Monumentalを聴き終えたSt. Ivesです。指が回って仕方ないという感じ。ブロウティガムやグールドの演奏同様に面白かった。


さて、本日「20世紀を語る音楽」(みすず書房)上下2巻を読了。すでに、片山氏や奥泉氏が書評を書いており付け加えることはあまりないが、劈頭のトーマス・マンの「ファウスト博士」の言葉が最後まで通奏低音のように鳴り響いている感じ。また、シェーンベルクとその後継者達のウエイトが低くなり、相対化されているが、結局はそことの距離で語るしかまとめようがなかったんだろうなあという感じも受けた。

著者はアメリカ人だと思うが、ポリティカル・コレクトという視点もあってかアフロ・アメリカンの音楽・音楽家についてかなりのいページを割いており、そのあたりを知らない身には興味深かった(でも聴く気は起きなかった)。そして、ブリテンの記述がかなり厚く(まあ、彼の同性愛とか少年愛については作品理解の必須であるとは思えんので、どうでもいい記述のような気がするけど)、またコープランドについても結構厚く記述している(しかし、R.シュトラウスに関する記述が実は一番厚いような気がする。彼は20世紀前半を生き抜いたからなあ)。


一方、記述の限界は、20世紀にはアメリカ人作曲家は重要なんだという感じは受けるのに、イタリア人の作曲家はいなかったような印象を受ける点。それほどにイタリア人作曲家の影が薄い。ダラピッコラ、べリオ、ノーノはちらと登場するのだが、他はどこに書かれていた?という感じ。また、ムッソリーニの音楽政策は、ヒトラー、スターリンのそれと比較すると極めて薄い(レスピーギ、マスカーニ、カゼッラのファシスト政権への協力振りには殆ど触れていない<シュトラウスのそれと比較すると皆無と言ってよい。まあ、それほど重要な作曲家ではないという判断なのだろう>。一方、ダラピッコラが当初のファシスト政権に熱狂していたことは記述している。英語で出版された幾つかの伝記にも書かれていたなあ)。また、アジア系も、タケミツを含めて記述量は非常に少ない。それは別の著作で読者自身が埋めればよいということであろう。


譜例が載っていればさらに良かったのだが、それはWEBで聴けるから良いでしょうということなんだろう。でも主として仕事の行き帰りに読む人間にはWEBの利用は無理なんだけど(さらに地下鉄利用者だし)。



これから、Gösta Neuwirth(1937年生まれ)の作品集でも聞いても見ようかと思うSt. Ivesでした。
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2010.12.25 Sat » 午後2時から初台で3流のオーケストラが練習して演奏した「トリスタンとイゾルデ」

はっきり申し上げる。本日の公演はかなりフラストレーションが溜まるものであった。


2010年12月25日 新国立劇場 午後2時開演

「トリスタンとイゾルデ」 プレミエ

指揮 大野和士
演出 ディヴィッド・マクヴィカー
美術 ロバート・ジョーンズ
照明 ポール・コンスタンブル

トリスタン  ステファン・グールド
イゾルデ   イレーネ・テオリン
ブランゲーネ エレーナツィトコーワ
マルケ王   ギド・イェンティンス
クルヴェナル ユッカ・ラジライネン
メロート   星野 淳

演奏 東京フィルハーモニー交響楽団


歌手は、テオリンが本調子ではなかった、少なくとも「神々の黄昏」やTVでも放映されたバイロイトでの「トリスタンとイゾルデ」ほどの圧倒的な歌唱ではなかったが、それでも十二分以上に素晴らしかった。しかし、他の歌手たちはもっと素晴らしかった、凹みが無いどころか傑出した歌を聴かせてくれたと言っても良く、歌手だけに限れば今年見聞きしたオペラのハイライトと言ってよい。そういえば、テオリンのドイツ語の発音が変だから嫌いだとか高言していた老人がいたが、1幕、2幕中いびきをかいて寝る御仁にそのようなことを言う資格などない(かの御仁は、帰宅途中でレクター博士にでも誘拐されても仕方ないだろう)。

演出・美術・照明は私個好みである、というより直前にティーレマンの振ったバイロイトの非常にひどい演出・美術・照明をみたこともあろうが、ほぼ十全である。当初、青白い月を真っ赤な月に変貌させたのは何故だろうか、20世紀に作曲された別の悲恋?物語への参照だろうかと思っていたが、あれは昼の象徴の太陽であることに気づく。だから第3幕は赤から青白く、そして「死の扉を昼の世界のイゾルデが開く」時には赤くなり、最後は沈んでいくのだ。
物見の塔が、まるでコーンウォール半島に多く残されているかつての錫精練工場の煙突のようにみえたり、マルケ王がLoad of the Ringの灰色のガンダルフを思い起こさせたのは、御愛嬌であろう。

大野の指揮は、かなりドラマチックであったと思われる、思われると書いたのは彼の意図がどの程度オーケストラにくみ取られたかが不明だからだ。

問題は、オーケストラだ。はっきり言って東京フィルハーモニーがここまで「ド下手」「素人集団」だとは思ってもいなかった。通常オーケストラが凡演した場合の責任は指揮者にある。しかし、本日に限っては大野氏の責任とは言い難い。随所で金管・木管は外しまくり、ソロには色気も静謐さも緊張感もなく、それぞれの楽器グループ内部でも、あるいはグループ同士でも聴きあって演奏していないとしか言いようがないほどに音がバラけてマスとして響いておらず、一方ライトモチーフを演奏していてもどうもそれとして認識していないようである。さらにピッチが狂っている奏者がソロで演奏するので聴いている方が不快で気が狂いそうになってしまった。個々人の技量が低レベルでは、どんな指揮者でも如何ともしがたいであろう。
読売日本交響楽団でヒンデミットの「午前7時の湯治場の井戸端で2流の奏者たちが初見で演奏したさまよえるオランダ人」の弦楽合奏版を振る指揮者の下野氏には、本日の東京フィルハーモニーの演奏を是非参考にして欲しいと思うのであった。でも3流の演奏では2流の参考にはできないか。


二度と東京フィルハーモニーをピットに入れて欲しくないSt. Ivesでした。歌手の声が直接響き渡ってオーケストラの音をかき消すような座席でなかったら1幕途中で帰ったかもしれない。

2010.12.19 Sun » "Bavaria" TEE Express Train届く

どうも、ロジェストヴェンスキー指揮 ソヴィエト文化省交響楽団によるヴォーン・ウィリアムズの交響曲第1番「海の交響曲」(メロディア SUCD-234 1988年ライヴ録音)を聴きながらのSt. Ivesです。聴く前はロシア語で歌っているのだろうかと思ったら英語でした。その英語の発音とオケの金管の音にちと違和感を感じる以外は、特段変なことをロジェヴェンはしていないと思います(ただ、RVW協会所属のこの曲に知悉している人でも聴けば、おかしいところがあるかもしれません)。それにしてもペレストロイカもグラスノスチも遠い昔となったあの頃、何を思ってロジェストヴェンスキーはこの曲を取り上げ、メロディアも録音に踏み切ったのでしょうかねえ。



さて、ということで、標記のモデルがようやく届きました。
Bavaria
Märklin 26557 "Bavara" TEE Express Train

北米経由で入手したので、多少日本のメルクリン愛好家の人々よりも入手が遅れました。早速インプレッションを書きたいところですが、届いても動かす時間がなくて眺めているだけです(そんなものばかりだ...)。それにしても色合いといい造形といいええですなあ。


メルクリンを動かせる場所が欲しいSt. Ivesでした。

2010.12.18 Sat » デュトワ指揮 N響 エマール(pf)

どうも、ダウスゴーが来シーズンの新日po.に来ると知って小躍りしているSt. Ivesです。ただ、サントリーホールシリーズなので、そっちの会員にもならねばならないのが玉に傷であります。平日だと行けるかどうか今一つ分からないのでねえ。


さて、本日横浜で標記のコンサートに行ってきました。まっとうなホールでN響を聴くのは非常に久しぶりな感じがしますけど、行った甲斐は十二分にありました。


横浜みなとみらいホール 午後2時開演

曲目
ラヴェル ピアノ協奏曲ト長調 
(アンコール)
ブーレーズ ノタシオン(オリジナル。2番が最後だった)

ショスタコーヴィチ 交響曲第8番

ラヴェルにしてもショスタコーヴィチにしてもN響は上手かった。非常に精妙微細な音から、最強奏まで破たんなく、デュトワの指揮のもと、緊張感がずーっと持続し、安心して聴かせてくれた(瞬間的には木管で調子が外れたこともあったが、許容範囲内であった)。中でもラヴェルの2楽章とショスタコーヴィチの8番の第4楽章が実に美しかった。
ピアノ独奏のエマールの演奏は、CDでも聞かれるように洒脱で軽やかで、音が美しく、デュトワ指揮のN響の音がちと重く聞こえてしまった。仕事でオペラ・シティにいけなかったのは極めて残念である。


ダウスゴーの振るブルックナー2番を聴きながらのSt. Ivesでした。

2010.12.09 Thu » エステルハージ博士の事件簿

どうも、ヤルヴィのシューマン・チクルスの感想を書かねばと思っているうちに日が経ってしまったSt. Ivesです。実によござんした。どこかの新聞の批評欄で、楽団の女性ヴィオラ奏者のことが書かれていましたが、全くその通りで聴いている方も楽しくなりました。



ということで、標記の事件簿を読了。ホームズ・ワトソンもののごとき推理小説ではございませんが、ハイドンの雇い主一族の関係者のような苗字の博覧強記の博士が大活躍(?)する短編集で、天才柳沢教授の生徒や20世紀初頭の中東欧歴史愛好家にはたまらん魅力をもっています。きっとハプスブルクの秘密警察員が読んでも、プラハでゴキブリになったと思う男を扱うよりは面白いと感じただろうと思います。続編はないんでしょうかねえ。



これから、「20世紀を語る音楽」下巻を読み始めようかと思うSt. Ivesでした。上巻にも描かれているシェーンベルクのカリフォルニア時代のカラー写真がみたいものです。
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AUTHOR : St.Ives

No hay caminos, hay que caminar...

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