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近現代クラシック音楽愛好家の徒然草。

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2014.11.30 Sun » 諸君、帽子を取りたまえ  11月30日 シューマンQ@第一生命ホール

どうも、最近月1程度しかコンサートに行っていないSt. Ivesです。

さて、本日は東京晴海は第一生命ホールにシューマンQを聴きにいって行きました。理由はずばりプログラム

1.ハイドン 弦楽四重奏曲第79番 ニ長調 op.76-5 Hob.III-79「ラルゴ」
2.アイヴス 弦楽四重奏曲第2番
3.ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調 op.131
(アンコール)
モーツァルト 弦楽四重奏曲第21番 ニ長調 KV575より第2楽章(アンダンテ)

演奏 シューマンQ(ちなみに、「シューマン」は、ドイツの作曲家に敬意を表したものではなく、一家(第1、第2Vn、チェロ)の苗字とのこと)。

アイヴスの2番を実演で聴くのは、はて何時以来か?という感じで会場に着くと、アイヴスの2番とモーツァルトのKV575を入れたCDが売っておりました。日本では来年1、2月くらいから売り出すので会場先行発売ということで即購入。プログラムを読むと、ボルドーでのコンクールに向けて同曲を猛練習をしたとの由。アイヴスのおかげかはともかく同コンクールでは優勝したそうです。

さて、アイヴスの2番ですが、メインプログラムが終わり舞台に出てきたエリック・シューマン、日本語で、「14番の後でアンコールを演奏することはないのですが、彼の愛したモーツァルト(エリック「なんだっけ」、弟「ごーなーご(575)」)のアンダンテならば良いでしょう。ちょうど、録音したばかりですし。アイヴスの2番も入っています。2、3回聴かないと分からないので、私たちのCDをどうぞ」とちゃっかり宣伝。CDでも私の手元にはせいぜい5種類程度しかなく──ジュリアード、エマーソン、モンドリアン、ライプチヒ、ブレア──、それくらい誰も弾かないし聴かないんだけれども、あたらしいディスクを引っ提げて日本で実演してくれるだけでもありがたい、演奏がよければなお有難い、それほどいわゆる難曲なんで、2、3回も聴く忍耐力と時間がある人がどれくらいいるだろうか、近頃何でもインスタントで分かり易さばかり尊ばれているのでねえ。そういえば、ピアニストのリヒテルが「10回聞いても分からんかった」と述懐している、ウッドワードの弾いたバラケのソナタのディスクがまだ届かないなあ。10回聴くより、1回楽譜を見て弾いてみたらよかったのになあ(そして録音が残されていればなあ)。

全体は3楽章。例のごとく、バラバラに作った3つの楽章をまとめて弦楽四重奏曲としたのではないかと思われる作品。各楽章に標題めいたものと解説がアイヴス自身によって付けられており、第1楽章は討論(Discussions)、第2楽章は論争(Arguments)、第3楽章は山々の呼び声(The Call of the Mountains)──日本語訳は当日のプログラムによる──とされている。構成的には、第3交響曲「キャンプ・ミーティング」と同じ(というよりは4楽章構成の場合にみられる第3楽章フーガを割愛しただけ)。第2楽章が恒例の引用のオンパレードかつアイヴスの曲の中でも多分最も暴力的な響きの楽章。

さて、その演奏はというと、アムランが日本で弾いたピアノソナタ第2番級に楽譜をリアルに再現。まるで録音物を聴いているかのように細部が極めて克明で、第2楽章での「合唱」をはじめ引用、特に讃美歌や民謡等の引用をばっちりそれとして聞かせてくれるし、無駄に聞こえがちな経過部も意義深く聞かせる。全体の構成感も完全に把握していて全くだれることのない生き生きとした音楽となっていた。これは優勝しておかしくない。

ベートーヴェンの14番、多分昨年の連続演奏会のパシフィカSQ以来の実演?アイヴス同様に細部を克明に描写しながら、ラサール、ABQには感じられない若々しさを感じる演奏。といっても、息せき切って強弱の振幅を激烈にする場合もある古楽的な演奏ではなく、じっくりニュアンス付けをするところや間合いを絶妙にとり(第4、6楽章とか)、何より、アイヴスの後にもかかわらず、この曲がとてもアヴァンギャルドに聞こえる(第5楽章や第7楽章)。素晴らしい、彼らの代名詞的作品らしいのだが、まだディスクはないのが残念。

ハイドンについては、「ラルゴ」はそれほど聴かないのですけど、良い演奏だったなあと思いました。隣でずーっと騒いでいた小学校低学年と思しき子供も、第2楽章ではいびきをかいて寝ていましたし...。いくら一流が良いとか、高いレベルのものを最初に享受すべきといっても、さすがに今日のプログラムはおこちゃまには分からんと思いますよ。

彼らがSQの新しい道になるかどうかはわかりませんが、とても堪能したSt. Ivesでした。
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St.Ives

AUTHOR : St.Ives

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