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近現代クラシック音楽愛好家の徒然草。

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2005.07.03 Sun » 帰国前1週間および帰国後の1週間

ブログに移行しました。しかしその中身は、例の如くだらだらと日々の記録を書き連ねるものに変わりありません。


さて、帰国前の1週間に行ったドレスデン、ベルリンのオペラ・コンサートはいずれも素晴らしかったです。

18日(土)ドレスデンでの「アラベラ」。タイトル・ロールを歌ったアンゲラ・デノケの歌唱は、このオペラの主役はまさにアラベラなんだなあとあらためて思わせてくれる、素晴らしく透き通った、細かい感情の移ろいを感じさせるもので、特に許しの場面における神々しさと場の雰囲気の変化は、シュトラウスのつけた音楽ともども感動的でした(これまで主役は「ズデンカ」なのでは?と思う演奏ばかりでした)。

ロンドンの知り合いとドレスデンでばったり会ったので、終演後、デノケ、指揮(ペーター・シュナイダー)、オケともども素晴らしかったと祝杯を挙げました(ただ、デノケは最近ちと歌い過ぎなのが気になるなあとお互いに心配はしましたけど)。なお、彼女は、来シーズンのコヴェント・ガーデンに初デビューだそうで、その演目がシェーンベルクのモノ・ドラマ「期待」、何でまたこの曲なのだろうか?と思う一方で、ベルクの「ヴォツェック」の録音(マリー役)から想像するに、さぞや壮絶なものになるだろうと思います。ああ、聞きたい。

続いて翌日の「薔薇の騎士」は、何よりもドレスデンの音が素晴らしい、R.シュトラウスはこの音が欲しかったに違いないと勝手に確信しました。指揮のボーダーは、カルロス親子に慣れていると違和感を感じる所も多かったのですけど、まあオケの美しさ、シーンを壊さない点で及第点以上の出来でありました。歌手はゾフィーにハンブルクの「ルル」役スヴェンソンが出ており、C.シェーファーのゾフィー同様に知的でしっかりした娘という感じ。元帥夫人役は、実年齢に近い若々しい感じの中に威厳を持ち、声が若干小さいことを除けば、私はとても気に入りました。

20日のベルリン・ドイツ・オペラ、月曜日とはいえ唖然とする程客がいない。2階席はかつての川崎球場のようにお客さんが数えられる程。もっとも、アニヤ・シリア演じる「マクロプロス事件」の素晴らしさにはいささかも影響しませんでした。演出はすでにDVDで売り出されている、アニヤ・シリア自身が出ているグライドボーンでの上演と同じ。

アニヤ・シリアは御年70歳、20歳前にバイロイト音楽祭に登場したという、ある意味でとんでもない歌手。ロンドンに行くまではクレンペラー指揮の「オランダ人」(EMI)のゼンタ役を歌っていたので、40年近く昔の歌手というイメージしかなく、すでに引退あるいは亡くなったとばかり思っていたので、まだ歌っていたことには驚きました。初めて聞いたのは2003年夏のルツェルン音楽祭でのシェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」。C.シェーファーのキャンセル(その年の秋に亡くなったご主人の付き添いのため)を受けて、代役で登場。私は最初同姓同名の人かと思っていたのですが、ご本人でした。かなり崩した歌い方ではありました(ブーレーズがどんな気分でオケ振っていたのか知りたいものです)。その秋のパリでの「ルル」のゲシュヴィッツ伯爵令嬢は聞けませんでしたが、「カルメル派修道女」でも出ていたと記憶しています。そして今晩の「マクロプロス」で主役。

DVDのカバーに見られるように、彼女は、第1幕第2場でド派手な衣装を着て登場しました。DVDを見た際は、一体どんなオペラ(エミリア・マクロプロスはオペラ歌手という設定)を歌ったことにしたのだろうと疑問に思っていたのですが、今は「ルル」だと思っています。というのも、この2週間前にアムステルダムで見たハンブルク州立歌劇場引越公演の「ルル」のパンフレットに、同劇場での上演史を写真入りで紹介しており、その中にほぼ同じ格好で「ルル」役を演じている彼女の写真がありました(第1幕最後)。

もっとも、「マクロプロス事件」の設定は1922年のプラハなので、「ルル」どころか「ヴォツェック」すらまだ上演されていません。ただ、40年以上昔の「ルル」の格好を真似たとしたら、370年以上生きたオペラ歌手という設定と、半世紀以上にわたる長い芸歴も大分終わりに近づいた彼女の存在とを重ね合わせた上手いお遊びだと思います。

さて、肝心の声のほうですが、予想外に出ていました。勿論艶は大分失われていましたし、声もそれほど通るわけではない(もっとも、他の歌手も通っていなかった)のですが、そこは演技と歌い口の上手さという、「370年生きればあなたもエミリア・マクロプロスのような歌手になれるわ」(第2幕最終シーン)を地で行って、年齢によって失われたものを年齢を重ねることによって得たものでカバーしていました。

指揮はM.アルブレヒト。パリでのヤナーチェクの「死の家の記録」(6月12日)ともども、あまり轟音公害を引き起こしていませんでした。ただ、アバド(死の家の記録@ザルツブルク)やマッケラスと比較すると、どうもオケの切れが悪く、ヤナーチェクのオーケストレーションの醍醐味やリズミカルな感じ(あるいはマイケル・ナイマンがパクッたと思うミニマルっぽさ)があまり感じられない演奏でした。

終演後の拍手はもっぱら彼女に向けられていたのでした、おじいさん、おばあさんが多く立ち上がっていました、彼女の半世紀近ファン達なのでしょう。

22日、ベルリンpo.によるストラヴィンスキーの「結婚」、そしてハイドンの「ハルモニー・ミサ」。指揮はラトル。売り切れだったので、コンシェルジェに頼んだら、100ユーロでBブロック10列25番という一度は座ってみたかったど真ん中の席を用意してくれました(帰国したらフジ・サンケイ・グループから今秋に来日するラトル&ベルリンpo.の案内が来ていて、お値段を見てそのままゴミ箱に捨てました。幾らなんでもあまりに高過ぎる)。
まず、「結婚」。ベルリンpo.の打楽器奏者6名にピアノをアデス(1)、フォークト(2)、ラベック姉妹(3&4)、それにいつもの合唱団という編成。ベルリンpoを聴きに来て、これは無いだろうと思う人もいたのか、チケット売り切れの割には空席がありましたけど、ブーレーズ指揮アンサンブル・アンテルコンタンポランの機械仕掛けのような演奏、ゲルギエフ指揮マリンスキー歌劇場管弦楽団によるドロドロとした土俗的な演奏に対してスタイリッシュで、音の仕掛けやリズムの切れのよさを満喫できる名演でした。

続くハルモニー・メッセは、小型の編成。全体にきりりと引き締まり、ハイドンの持つ軽さと上品なユーモア、あるいは宗教作品でありながらも宗教的な面を離れた喜遊的な面をより浮かび上がらせた聞いていて楽しい演奏でした。来日公演でもハイドンのミサ曲をを取り上げてくれればと思うのですがねえ。

翌22日にロンドンに戻り、バービカン・センターにてプレヴィン指揮、ムター独奏、ロンドン響によるコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲、そして在英最後のコンサートに相応しくウォルトンの交響曲第1番を聴きました。
プレヴィンの足取りは前週のコンサートの時点よりは良くなっていましたが、相変わらず摺り足でした。ムターはステージに出る時はさっさと歩いてプレヴィン登場を待ち、帰りは階段のところで待ち合わせて腕を取っていました。コルンゴルトの演奏の方は、あまり聞かない曲ではありましたが、聴き応えは十分の演奏でした。

続くウォルトンの1番は、4楽章が他の楽章に比較して凝集力や展開力に欠ける嫌いがあるものの、シベリウスとエルガーをよく研究したようなこの曲を、とても75歳の老人とは思えぬ、雄渾で壮麗、確信と覇気に満ちたすばらしい演奏で聞かせてくれました。プレヴィン盤はまだ持っていないので、どこかで買う予定であります。

23日、24日は楽譜屋とみやげ物ツアー(と若干のお仕事)。ブージ&ホークスがウィグモア・ホールから数十m東の同じ通り沿いに新本店を出したので、ディーリアスの「人生のミサ」を買いに出かけましたが、殆どフルスコアは取り扱っていませんでした。ただ、バーゲンと称して売れ残りの楽譜を半額で売っていて、ヴァレーズやノーノの楽譜をあわせて5、6冊購入。続いてボンド・ストリートの楽譜店で、バックスのピアノ・ソナタ第3番、第4番およびブライアンの交響曲第2番「ゴシック」の楽譜を購入。3年前に来てから棚に置かれっぱなしでしたので、この際と購入。確か世界最大の交響曲とギネスに書かれていたはず。
その後、本命?ユニヴァーサル&ショットの店に行き、シュレーカー、リゲティ(練習曲第3巻が入荷していた!)他多数を購入。このほかに紅茶やら洋服やらなんやらお土産を購入したので、非常に重い手荷物となってしまいました

帰国後、2日ほど休みを取って諸手続き。戸籍制度に振り回されていまだ遺産相続できずという状況であります。改製原戸籍というのは非常に下らない、非効率、非合理な制度であります。何で東京で死んだ人間の戸籍を、島根の役場に請求せねばならんのだ?あっ、免許証の再発行を忘れていた。


7月2日は大阪のいずみホールにて、アイヴスの3番交響曲、西村の新作(ピアノ協奏曲)を含むコンサートがあったのですが、財政状況が極めて厳しいことに加えて、来るべき船便を迎えるべく部屋の掃除・整理整頓を行なわなくてはならず、行くことを断念しました。

大掃除後、本棚をもう一つ購入する必要があるということが分かったのですが、財政難のおり、その費用をどのように捻出するかが目下最大の問題です。

これから、ネット・ラジオでサロネン指揮パリ・オペラ座の「トリスタン」が放送されるというので、頑張って録音しようかと思っています。ただ、ネット・ラジオ録音用ソフトNet Transporterのタイマー機能が上手く作動せず、寝ずの番をせざるを得ません。まあ、バスティーユで過ごした時間からすれば短いので耐えられますけどね。

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comments
お帰りなさい
お帰りなさいませ。

まだいろいろと事務処理だの何だのとお忙しいでしょうが、季節の変わり目、お体だけはたいせつに。

いずれ大阪でお会いすることもあるでしょう。その日を楽しみにしております。
どうも、早速のコメントありがとうございます。

これから荷物が大量に届くので、落ち着かない日々が続いています。幸い涼しくなったので、作業が楽で助かりました。

是非とも大阪でお会いできることを願っています。

それでは、今後ともよろしくお願いします。
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