母がラ米14日間の旅に出かけ、がらんと静まり返った家で一人CDを聞いています。日程の殆どが移動に次ぐ移動、それも深夜早朝出発が多く、行く場所も標高差の開きが大きいです。さらにバスで片道7時間も揺られることもあるという、はっきり言ってメチャクチャな、私ならばお断りというツアーなのでした。
実際の旅は大変でも、本の中なら、かつ土地勘大有りということで、ロンドン再訪と白水社から出た「ロンドン 食の歴史の物語」(アネット・ホープ著)を読んでいました。
内容は、題名の通り、ロンドンにおける食べ物事情についての歴史ですが、中世から現代に至るまでを何人かの英国を代表する文豪達の作品や日記をもとにして進めています。目次はこんな感じ
第1章 ご馳走は白鳥の丸焼き
チョーサー「カンタベリー物語」に描かれた中世
第2章 家庭菜園の時代
シェイクスピアが「フォルスタッフ」に食べさせたもの
第3章 外食文化の反映
二人の日記作家ピープスとイーヴリンが通ったクラブ
第4章 「英語辞書」と料理本
ジョンソン博士の愛したロンドン
第5章 産業革命と近代化のかげで
ディケンズ家の食卓
第6章 海亀のスープはお好き
オスカー・ワイルドとカフェ・ロワイヤル
第7章 彼女愛した隠れ家レストラン
ヴァージニア・ウルフと両大戦間のロンドン
第8章 変貌するロンドン食糧事情
1939年から現在まで
何故か第8章だけ作家名が目次に出ていませんが、それは読んでのお楽しみ。もっとも、この文豪達の中にあの名前を出すのはちと気が咎めたのかなあとか思っています。ただ、映画にもなっているので、シェイクスピア並に有名でしょうけど。
ロンドンに棲んでいた頃は、どうにも美味しくない所が多いなあと思っていたのですが、この本を読むと非常に英国料理が美味しく見えてきて、言葉の魔術というのはこういうことなんだろうなあと、思いつつ良く良く考えると、ウルフの時代頃までに紹介されている食べ物の大方は、当時の上流階級やブルジョアの食べ物でありまして、今のロンドンだってお金さえ出せば非常に美味しいものはある、というのと同じ理屈でありました。
なお、巻末にはチョーサーの時代から、ウルフの時代までの様々なレシピも掲載されています。ここはいっちょチョーサーも食したであろう「カボッシュ・イン・ポタージュ」でも作って、alle(all)とかat nyght(at night)とか中世英語で知り合いにレターを出そうかな。
「カボッシュ・イン・ポタージュ」というのは、名前こそ仰々しいのですけど、塩・胡椒等で味付けしただけのキャベツ入りスープです。
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