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近現代クラシック音楽愛好家の徒然草。

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2006.04.19 Wed » 皇帝ティートはそれほど慈悲深くなかった@ハンブルク

グリーグの弦楽四重奏曲(op.27)の弦楽オケ合奏版(CLASSICO CLASSCD669)を聴きながらですが、この曲に欲しい機動性が欠けていていまいちであります。


さて、忙しいのでブログの埋め草&復習を兼ねて、昨年5月、「さよならメッツマッヒャー!」でコンヴィチュニーとの数々のコラボレーションを上演してくれたハンブルク州立歌劇場での「皇帝ティートの慈悲」のアップし忘れ報告(しかし後で登場人物を埋めようとした空欄が多いし、第2幕以降が超短縮版しか見つからないなあ、まあいいか、そのままアップしちゃえ)。しかし、振り返ってみると、昨年5月から6月に見聞きしたコンサート・オペラの報告していないのが多いです。あのよぼよぼ足のプレヴィン翁指揮LSOによるウォルトンの交響曲第1番で終わった素晴らしい日々よ!書き溜めたままのものが多くてねえ、一応来年6月の新国劇での「薔薇」の前に、ドレスデンで見た2005年6月の「薔薇」をアップ予定(鬼が大笑い)。


という訳で、ネタばれありなので、これから新国劇で見るのを楽しみしている人は読まないで下さい。あっ、でもひとつだけ忠告、自分の購入した席から空いている席に座らない方が良いですよ。とっても後悔しますから。でも、密かに私は期待して無理して1階席の前の方の高いところ買ったんだけどね。





(ここから)


行く前にレヴァイン指揮メトのライヴを流し聞きした程度だし、他の演奏で特段聞き込んだものもなく、当夜の演奏の特徴を比較しつつ述べることはできません。ただ、「楽しい」音楽であったことは事実です。メッツマッヒャーのモーツァルトは、例えばラトルのようにモダン楽器での演奏にもかかわらず、古楽器演奏の特徴が刻印されたものではなく、オーソドックスの中にも、小編成による軽く、浮き立つような音で演奏させておりました。


この公演の最大の売りは、達者な演技の歌手と合唱団、そして指揮者まで巻き込んだコンヴィチュニーの楽しい演出であります。


私の座った席は2列中央で。うーむ、指揮者がいつになく高い位置で振るので非常に舞台が見辛く、直ぐ斜め右前の1列目に二つ空席があったので、第2幕はそこに席替えしようと思いつつ見始めました。

第1幕
舞台には白い幕が下ろされている。そこにはドイツ語で字義通りの「古代ローマの出来事」のほかに「てんやわんやの大騒ぎ」という意味が書かれていました。実際の舞台も、てんやわんやの大騒ぎでありました。


また、幕の前には譜面台が一つ置かれており、場内が暗くなると劇場の人が出てきて、場内の笑いを取りながら今夜の舞台のある役(忘れた)が3役で行なわれる説明を行っていたようでありました。まあ、よくしらオペラだし、クチパクはもう何度となく見ているのでそんなもんねと聞き流す。


メッツマッヒャーが登場し、序曲を演奏し始める、すると休符のたびに照明が暗くなったり明るくなったり。メッツマッヒャーが舞台袖に向かって「どうなっているんだ?○○!(人名は不明)」と叫ぶと舞台袖から「すいません!」という感じの答が返ってくる。仕方ないなあと再び振り始めるが照明はおかしいまま、そのまま強行。

二期会公演では、指揮者ではなく、舞台の袖から「照明係!最終日だ
というのになにやってんだー」の声。その後、劇場支配人が出てきて、もう一度序曲をやり直すことにする。


幕が上がると、青色の背景、新聞紙で作った張りぼてのうえに白いペンキを塗っただけの南門傍にあるピラミッドや、フォノ・ロマーナにある建物群のミニチュアの舞台美術といった、如何にもチープな古代ローマのイミテーションが登場。


そこにセスト登場。衣装は白のジーンズのジャケットにパンツさらにしばらくすると白のドレスを着た皇后が現れ皇帝暗殺を命じている。しかしそれを影でこっそり聞いている皇帝ティート。彼は、金色の胸当ての上にキリスト教国教化以前の古代ローマ皇帝の色であったという赤のガウンをはおり、頭には月桂冠を被っている。


さて、舞台には口パクで演技する役、そして袖には茶色のドレスを身にまとった美女がレチタティーヴォを暗譜で歌い、その横には濃紺のロング・ドレスを身にまとったヴィッテリア役が譜面を見ながらアリアのみを歌う。非常に不思議な光景、文楽みたいであった。レチタティーヴォを歌う彼女は、非常に疲れている感じでありました。なお、アリアを歌ったはスペイン系の(私好みの)黒髪で長身の美女でしたけど、舞台上の喜劇的な状況にある意味お構いなく、眉間に皴を寄せたり、時に舞台を遠目に眺めたりといった感情表現いっぱいでアリアを歌い、1曲歌うごとに喝采を浴びておりました。最後のアリアを歌い終え、これまでになく場内が大喝采を送ると、このときようやく荷が降りたことに安心して笑顔をみせて聴衆に応えていた。それにしても、ヴィッテリア役の歌手は口パクだけでかわいそうな扱いであったなあ。


さて、白のスーツ姿のアンニオも現れ、ナイフを突き出しつつ歌うヴィッテリアにセストともども困惑しつつ対応。

続いて、ハート型の穴の開いた赤いトイレ・ボックスから皇帝が登場。中で本を読んでいたようで、この赤いトイレとハート・マークの形は、きっとコンヴィチュニーがコペンハーゲンでの「エレクトラ」(今年3月)を演出しに行った際、街中を見物して思いついたんだろうなあ。あれは私にはどうみても、新オペラ・ハウスと運河を挟んだ向かいに立つデンマーク王室の宮殿を警備する近衛兵の待機小屋を思い出して仕方なかったですよ。

二期会公演では「殿方」と漢字も大書されていました。


その皇帝を嘉すべくローマ支配地から朝貢者たちが登場。しかし、彼らの姿は古代ローマのそれではなく、オランダ、スペイン、トルコetc.と思しき民族衣装を羽織っておりまして、古代ローマの版図の表現かとおもわせつつ、その中に粗末な毛皮だけを羽織った荒い長髪の人々がいて、丸々1頭の豚ならぬ猪を持ってきていて、あれはもしかしてライン川以北の人々(つまり現在のドイツ人)なのかも…

二期会では、遊牧民の衣装の人が羊を、そしてライン川向うの人々がビール瓶を持ってきておりました。それとイスラム系の衣装の人が多かったような気もする

なお、皇帝陛下、猪や果物や織物といった現物よりも、どこかの国が持って来た袋入りの金貨がいたくお気に入りのようでした。かなり俗物

二期会ではそれほど俗物とは見えず。

さて、彼らが去るとセストとアンニオが登場。皇帝との対話が始まる。皇帝は途中でやおら立ち上がり、舞台奥に行き、ビール瓶1ダース入りケースを持ってきて、二人に奨める。二人は困ったと思いつつ受け取るののだけれど、セストは中々栓を開けられない(昔の跳ね上げ式のキャップ)。見かねた皇帝が開けてあげ、ラッパ飲みしつつ、さらに二人にビールをもう一本勧める、さらに困る二人。それにしても皇帝も飲んだビールの銘柄が分からなかったのは残念である。ホルステン(ハンブルクの銘柄)かなあ?

二期会公演でも銘柄不明。


舞台が回転し、セルヴィーリアの家(キッチン兼ダイニング・ルーム)。ダイニング・テーブルの椅子に座って皇帝からもらったビールを飲んでいるアンニオ。ダイニング・テーブルのカバーが白とピンクの格子模様で、花が飾られていたかは覚えていない。その向こうに白地に黒の水玉(?)のブラウスを着てかいがいしく料理をしているセルヴィーリア。屋根からはちゃんと白い煙が時々思い出したようにポッポッと吐き出されて、場内で指差す人多数。変に細かい舞台美術。


二人は歌っているうちに感極まっていちゃいちゃし始めたので、メッツマッヒャーは音楽を止めて譜面台を指揮棒で叩きながら、「そこの二人!」と注意。神妙な面持ちでかしこまって再び歌いだす二人。しかし、セルヴィーリアは歌うのに気を取られて中瓶の塩を全部鍋に注ぎ込んでしまったのだが、大丈夫だろうか(その後何事もなく二人でそれを食べていた)。

残念ながら、ここでのスダーンのセリフが聞こえず。二人はかしこまって歌い始め、場内の笑いを取っていました。

さて、場面変わって暗殺に逡巡するセスト。そこに「暑くありませんか?」と思わず尋ねたくなるほど厚着で帽子を被り、顔を白塗りに頬だけ灰色に塗った(今年で10万何歳かのデーモン小暮閣下を思い出した)死神が登場。彼はクラリネットを本当に吹きつつうろうろとセストの周りを動く。そして、彼に自分のコート、帽子、手袋を着せていく。

二期会ではヴィッテリアが歌いながらしていたが、ハンブルクは私の記憶違いか?。


そしてティート暗殺場面。(チープな)ローマのあちこちから(チープな)火がシュボッシュボッっと音を立てて吹き上げ、白い煙が立ち込める中、便所で立小便?をしていた皇帝とその影武者達、その一人を煙に巻かれて訳も分からずに刺すセスト。


二期会では、ティート自身がセストの腕を取り、適当な一人を刺す。これも記憶違いか?


ここで第1幕終了。


休憩時間が終わり、席に戻ると、私の座ろうと思っていた1列目の二つの席はものの見事に先客がいた。うーむ、普段はこの席は非常に舞台が見やすいのになあと思っていると、平土間の座席の右後方に照明が当てられ、そこに皇帝陛下が。聴衆に手を振り、一旦座って周りのお客さんとおしゃべり。場内が暗くなると、席を立ち、満場の注目を浴びて舞台に向かうかと思ったら、やおら平土間席の一列目に入ってきた。   ベリオのオペラ「本当の話」の時のミルバのように一列目で歌うのかなと思ったら、得意げな顔で、本物のハンブルク州立歌劇場のチケットをかざしつつ、空いていた席に座っていたおじさんに向かって、「ここは余の席である。このようにチケットもある。(3列目の空席を指差して)汝はそこの空席に移るべし」と語りだしたのでした。おじさん驚愕、場内大爆笑。結局、そのおじさんは場内の大注目を浴びつつ、2列目の端っこに座り、それを見届けた皇帝陛下は満足そうに着席。音楽開始、ところが、音楽にお構いなく、皇帝を挟んだ前列のおばさんと恰幅よい町のお偉いさんという感じのおじさんが、本物のチケットなのかと尋ね、皇帝も「ほら本当に私のでしょう」とチケットを見せつつそれに鷹揚に応じ、以後しばらく談笑。誰もそれに注意できず。さすがの私もローマ皇帝の逆鱗に振れてコロシアムでライオンと戦う羽目には陥りたくなく、目も前の会話を「見聞きしなかったこと」にしてしまいました。因みにチケットには、ボールペンで「ティート」と殴り書きされていました。どこまでもチープ。にしてもお客さんをどかすこたあないでしょう、陛下。


二期会では、空席に誰も座らず。皇帝は、聴衆に対して、「日曜の午後、ようこそおいでくださった。コンヴィチュニー氏より舞台を見るように言われたので、私もここで見ます」という趣旨を述べて、着席。

第2幕
焼け出された風体のメッツマッヒャーが舞台上にとぼとぼと登場して、客席の笑いを取った後、指揮台に。指揮をし始めるも皇帝陛下はおしゃべり、さらに指揮や舞台上の歌手にいちゃもんをつける。恐縮する指揮者に歌手、これじゃあ暴君そのものですな、ネロですよ。


ティトの偉大さを讃える胸像の除幕式。黄金(ブロンズ)の胸像に花を捧げる民衆。それに応えて皇帝が歌い始めると、子供二人が、ティトだティトだと指を差して騒ぎ始める。歌が聞こえんぞ!という場内の非難を恐れて子供を黙らせる親達。

競技場で催し物をと(イタリア語で)問うブブリオに、「いーよ」と日本語で返す皇帝。その後、セストの無実を証明しろとばかりに歌の一部をrrrrrrrの音でブブリオを追い返す皇帝。

さらにブブリオに連れて行かれるアンニオの歌が途中までだったので、セルヴィーリアに歌わせようとする皇帝。場内に拍手を促し、プロンプターが出を教えて再開。その後、皇帝自ら聴衆に拍手喝さいを促し、舞台上では成功に気を良くしているセルヴィーリアの図。


公演チラシをもって指揮者おしのけ舞台に向って得意そうだったのもつかの間、セストとの対話と自己との対話の最中に倒れる陛下。あわてて医者が呼び出され、個人的にはあまり良い思いはしていなかったのですが、ベルリン・ドイツ歌劇場と違って、幸い陛下は新品の人工心臓をいただき、蘇ったのでした。しかし、なんと歌う言葉がおかしい、英語だのフランス語だので歌い始める始末。慌ててリモコンを操作してイタリア語で歌わせドイツ語で喋らせようと(多分)しておりました。


証拠がありましたと、先ほどやられたrrrrrrの音で皇帝に仕返しをするブブリオ(場内笑い)。彼が得意そうに見せたチラシは、多分パンフレット43ページのツェルターからゲーテに当てた手紙(ハンブルクも同じだったと思う)。舞台から楽団員の手を経て渡されたそれを見て愕然とする。指揮者を押しのけ、楽団員にチラシを渡して、歌い始める皇帝。楽団員がコレコレと舞台上に振るので、漸くそれを受け取ってまだ歌う皇帝。よし良しと頷く(偉そうな)楽団員。いきなり日本語で演説する皇帝。「人の本心は見えないからだ」とか何とか。

セストとの対話(イタリア語)の後、皇帝としての立場と本心との対話を(目が光る)胸像と行なう皇帝、その最中、心を替えて欲しいと歌う中で、自分で心臓を取り出して倒れてしまう。この心臓は少なくともデュトワ指揮N響の「囚われ人」で使われたハートの枕よりは凝っていた。
ここで、照明が落ち、劇場支配人が「お医者様はいませんか」と懐中電灯の光で場内を照らすと、二つ隣席のご老人がしゃきっと立ち上がり、「ここにいます」と舞台に向うも、「ところで出口はどこかいな」「舞台までは遠いからのう」と出て行く。再び劇場支配人が「看護婦さんはいませんか」というと舞台から看護婦が。先生早く早くとせかされて、「急に走ったもんだから私の方が心臓がバクナクしてしまったよ」とか、「救急車よりは速かっただろう」とか言いながら駆け寄り、緊急手術。ハンブルクのパンフレットの表紙にある銀色の心臓をペンチで組み込み、殆どお裁縫ののりで縫合する医者。ティトの在位は3年ほどだったので、この後の術後管理に失敗したのかねえ。その後胸を押して蘇生させる時の掛け声は何故かドイツ語、そして蘇った皇帝。続きを歌い始めると、それは日本語(字幕には「日本語チャンネル」)。慌ててリモコンボタンを押す医者、すると、今度は韓国語(字幕は「韓流チャンネル」)、再びボタンを押すとフランス語、さらにはドイツ語と変り、最後にようやくイタリア語に戻ったのでした。

ロボットのようにぎごち無い動きを伴って皇帝が退場。

白い幕が降りて、その前に椅子を抱え机を引っ張って出てくるセスト。アリアを歌いながら、机の上の小箱を開け、何かの陶製の人形(モーツァルト?)そしてモーツァルト・クーゲルの箱を出し、続いて自殺するための道具を出して試していく。まず、首吊りをしようとするも、自分で紐を持って椅子から飛び降りては意味がない。次は薬だが、水もろとも噴出してしまう、さらに拳銃を頭に当てるも不発。最後はナイフでリスト・カットを試みるが、切れない。そのまま場内の笑いを受けながら退場。


かわってセルヴィーリアの家。逡巡しつつ真実を告白しようとするヴィッテリア。その周りをバセット・ホルンを吹きながら歩き、彼女に黒い葬儀用のヴェールをかける死神。

再び舞台転換。頭に布を被せられ追い立てられて歩く囚人。その周りで威嚇している、というよりじゃれ付いているとしか見えない子ライオン。ヴィッテリアの告白を受けて、半分以上うんざりしながら、皆を許して忘れるといってトイレに引き篭る皇帝。ホッとして、かつ多分本当に疲れ果てて椅子に座るセスト、よってくるライオンにおびえるも、ライオンが頭を腿にもたれてくるので、頭をなでてモーツァルト・クーゲルをあげている。背景では、合唱団がトイレを横に揺らして歌い、その合間に扉を開けて歌う皇帝。

一旦幕が降りて拍手喝さい、と思ったら、やおら腕を振り下ろすスダーン、「あっそう?また同じことの繰り返し?」とばかりに序曲が始まり、またもや照明が、今度は客席側も含めて明滅、そして幕が開けると走って飛び出して来る歌手たち。ブブリオは通り過ぎてしまうし、アンニオとセルヴィーリアは皇帝のトイレに入ってしまう、そして皇帝が出てきて入ろうと扉を開けたら、いたしている最中の二人がごろんと転がり出てくる(幾らなんでも狭くないか?)。再び子ライオン二匹が轟音と共に出てきて、舞台中央に出てくると、歌手たちが整列して前に、そこに指揮者のスダーンも呼ばれて出てきて、挨拶。序曲も終了し、再度盛大な拍手でもって本当に終了。
(ここまで)

さて、日本人歌手とスダーンはどこまでこの楽しさを再現できるかなあ、期待と不安をもって


なんのなんの、期待以上に素晴らしい公演でありました。再演されればまた行きますよ。
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