4月23日 新国立劇場
モーツァルト オペラ・セリア「皇帝ティトの慈悲」
ティト:高橋 淳
ヴィッテリア:吉田恭子
セルヴィーリア:菊池美奈
セスト:谷口睦美
アンニオ:穴澤ゆう子
ブブリオ:大塚博章
死:エマニュエル・ヌブー
医者:中吉卓郎
看護士:安藤みどり
子供&ライオン:下飛田光、杷野真弓
指揮:ユベール・スダーン
演奏:東京交響楽団
合唱:二期会合唱団
演出:ペーター・コンヴィチュニー
美術:ヘルムート・ブラーデ
照明:マンフレート・フォス
ドラマトゥルク:ベッティーナ・バルツ
ハンブルク州立歌劇場との共同制作
面白い舞台は何度見ても面白いのですけど、それもやはり歌手とオケがあってこそで、正直なところ演出を楽しみに出かけたら、歌手とオケが素晴らしかったです。
まず、歌手陣。演技を含めてどの歌手も良かったのですが、中でも皇帝ティト役の高橋淳が筆頭にあげられしょう、その声は良く通り、輝かしいだけでなく、第1幕の鷹揚さが第2幕途中から深刻な影を帯びはじめ、最後には、合唱と対抗しつつ歌う部分では、かなり傷ついたハズなのに許さざるを得ない場面において、少しぶっきらぼうに感じられるようにまで変化してゆき、この役にぴったりでありました。当然ながら満座の拍手を受けていました。
これに続くはセスト役の谷口睦美とヴィッテリア役の吉田恭子でありました。日本人の目からするとオーバー・アクション気味なところ(かつ結構動き周る)、それと見せずに演技しつつそれぞれのかなり長いアリアを延々と美声で破綻なく歌い続けてくれました(総じて、第1幕より第2幕の方がより良く聞こえたのは何故かな?)。
意外だったのはオケ。非常に柔らかい響きでした、ハンブルクのオケが昔のN響みたいなきつい音を出していたことはともかく、このところ幾つか聞いたモーツァルトはいずれも細身の音だったこともあり新鮮でありました。スダーンの日本語は良く聞き取れませんでしたけど(笑)。
演出については、ドイツ語字幕から日本語字幕になったので、「ハート」の部分だけでなく、今回のリモコンは、日本語、韓国語(韓流と表示)、フランス語、ドイツ語でありました、セリフとの関係が練られているなあということがよく分かりました。
このほか、記憶から抜け落ちていた部分、後半の死神はバセット・ホルンを持って登場するところとか、自殺しようと色々試すのに、全部失敗するセスト(最初の自分で自分の首をつろうとするのに当たり前のように失敗したシーンに笑いが出なかったのは、ドイツと日本の笑いのツボの違いなのかな?)、皇帝が歌っているのに邪魔をする子供や、その子供たちによるライオンの登場、胸像との対話、そして「大混乱のローマ」さながらのエンディング等々(劇場内で、「買えばオペラがもっと面白くなる」とのコピー付きで売られていたモーツァルト・クーゲルも登場していました)。
また、第2幕でティトがアリアに茶々を入れる(そしてアンニオの歌をセルヴィーリアに歌わせる)部分を始めとしたドイツ語で喋られた部分は日本語で喋られていまして、「そうだったのか!」的なところが多かったです。それにしても、イタリアで競技場へと歌うブブリオに日本語で「いーよ」と応えたのは爆笑ものでした。
因みに、皇帝は休憩時間中ホワイエに出て拍手を受け、「望月氏と違って肖像権は無いから(言わないかから?)」とか言ってファンと並んで写真を取られていました。その後チケットをヒラヒラさせながら入場。残念なことに幸いなことに、席に座っている人はいませんでした。また、医者役が二つ隣の席から立ち上がったのには驚きましたね、第1幕の最初から座っていて、普通のお客さんだとばかり思っていました。このシーンはハンブルク同様に受けていました。
最後に、パンフレットは1000円でした。その中身は非常に濃くお買い得でありましたし、表紙にはハンブルク公演のパンフレットの表紙がデザインとして使われており、しばし感慨にふけったのでした。
という訳で、心から楽しんだ公演でした(これでもう一声でハンブルク並みのお値段だったらなあ...)。次の二期会公演は来年のR.シュトラウスの「ダナエ」に行く予定。
なお、4月19日分を修正しました。青地が今回の公演です(第2幕は殆ど今回の公演によります)。
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