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近現代クラシック音楽愛好家の徒然草。

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2006.04.24 Mon » バツェヴィチ、Who?

牛の放牧が始まったというNHKのニュース、その中で「牝牛の乳牛」とのたまっていたので、思わず「牡牛の乳牛もいるのか?」と突っ込みを入れてしまったSt.Ivesです。


昨日、「ティト」の帰りに「ぶらあぼ」を眺めていたら、来月から1ヶ月以上も日本に滞在してリサイタルを行なうツィメルマンのプログラムのうち、東京文化会館分が公表されていました。埼玉分はまだ未定とされ、他の日は違うのかなと思いつつ見たプログラムはこんな感じ。


モーツァルト:ピアノ・ソナタ第10番 ハ長調k.330
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調op.13「悲愴」
ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
バツェヴィチ:ピアノ・ソナタ第2番ほか

最後の「ほか」って何だとしても、ラヴェルまではロンドンでの2005年のリサイタルと同じ。美しい硬質な、でもちょっと私には退屈だったモーツァルト、ポリーニの演奏とは大きく異なるダイナミック・レンジを大きく取った「悲愴」、モーツァルト同様に美しかった、でも退屈しなかったラヴェル、そしてあれ?ショパンの2番ソナタじゃないし、バツェヴィチって誰?

という訳で、タワー新宿にてCD購入。そのCDは、バツェヴィチのソナタのほか、ルトスワフスキの「民謡集」、「牧歌集」、セロツキのソナタと「ア・ピアチェレ」、シコルスキの「ぼんやりと、ただ外を眺めて」という全く未知の作品ばかりを収録していて、さらにピアニストも藤原亜美というこれまた知らない人。国内盤(Regulus RGCD-1004)3000円なりで、ちと高かったが、仕方なく購入。もっとも、購入CD10枚のうち必ず1枚は未知の作曲家か未知の作品を入れることを自らに義務付けているので、内容についてはまあいいかということであります。

さて、バツェヴィチ。CDの解説書および手持ちの事典を当ると、1909年1月5日生まれ、1969年1月17日に亡くなった女性の作曲家。第1回ヴィエニャフスキ国際コンクールに優勝するほどのヴァイオリンの腕前に、ピアノも相当上手かったという(CD解説によると、第2ソナタの自身の録音があるらしい)。
ポーランドから1930年代にパリに留学し、かの地で例の女性に作曲を学び、新古典派に軸足を置いた作風とのこと。この1953年作曲の第2ソナタもそんな様式美は感じられたが、よりバルトークっぽい荒々しい響きにあり(事典にもそう書かれていた)、もしかしてピアニスト100で埼玉芸劇に登場したツィメルマンがアンコールで弾いたの超絶技巧曲はこの人の作品かな?と思わせるもの。

彼女は、作風的には12音にも影響されているとのことだが、この曲はヴェーベルンの変奏曲のようなもんではなく、バルトークのソナタに近い。実際のところ12音に本格的に近づいたのは、1958年作曲弦楽とトランペットと打楽器のための音楽(略して「弦トラ」とは誰も言わない)以降らしい。

最後に相応しいそれなりの規模と内容を持った作品だが、聴衆がこれで満足してくれるかは微妙。多分ショパンの何かをアンコールで弾くのではなかろうか。個人的にはロンドンで聴きそこなったゴドフスキーの「ジャワ組曲」から何か引いて欲しいのだが。ともかく、日本公演にもかかわらず変った曲を選んでくれたツィメルマンに感謝。


さて、CDに戻るとこのバツェヴィチ以上に忘れがたき曲があった。セロツキのソナタである。「ワルシャワの秋」の立役者で、現代音楽のポーランド楽派(っていっても統一的な作風は感じないんだけど)の一人として名前は知っているが、この人の作品は聴いた記憶がない(どこかの音楽祭○○年記念CDに入っていたとは思うが確認できず)。

1955年作曲のソナタ、「ワルシャワの秋」は何時から始まったかなあとか思いながら聴き始めて、すぐに噴出してしまった。というのも、解説には「プロコフィエフ風の楽章」と書かれていたが、これは「風」ではなく「パクリ」というのではなかろうか、それもプロコフィエフの第7ソナタの!
このソナタの後に収録されているア・ピアチェレ(1962/3年)は、不確定性を取り入れたまさにブーレーズの第3ソナタ等を思い起こさせる作風と大きく方向転換。ブーレーズが全くプロコフィエフを評価していないと知って、パリで学んだ例の女性の作曲の教師から「転向」したのかなあとか思うのでありました。

という訳で、音色がもう少しあればいいなあと思いつつ、しっかり弾いている演奏も含めて楽しめたCDなのでした。
その後調べたら、HPがあったし、いかなかった4月22日のブーレーズin奏楽堂にも出演していた。行かなかったのは失敗であった。


これからソロニツキーの弾く、スクリャービンのピアノ・ソナタ第4番を聴こうかと思います。この曲はリストのロ短調ソナタの影が色濃いんだよなあ。
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comments
バツェヴィチ・・!!
はじめまして、グラジナ・バツェヴィチ情報載せて下さってありがとうございます。
今年Deutsches RundfunkarchivでHermann AbendrothについてPDFファイル
http://www.dra.de/online/hinweisdienste/musik/2006/pdf/abendroth.pdf
が出ているのですが、そこにバツェヴィチのヴァイオリン協奏曲第3番があり
「バツェヴィチ・・・??初耳!どんな曲だろう??」
と丁度興味を持ち始めていたところでした。
CD探してみてるんですが、バツェヴィチは室内楽のがほとんどなのですね。ヴァイオリン協奏曲はほとんど見当たりませんでした。
バツェヴィチ
どうも、初めまして。HPは時々拝見させていただいていましたが、これには気が付きませんでした。それにしても、アーベントロートがバツェヴィチも取り上げていたとは。
因みに私のもっている事典(Twentieth Century Composers、 PIMLICO社)では、ヴァイオリン協奏曲第3番は1948年作曲とあり、パリ留学の成果である新古典派の作風の時代かつポーランド民謡のテーマの作品だそうです。ストラヴィンスキーのヴァイオリン協奏曲のポーランド風という感じなのでしょうかね?

それにしてもアーベントロート情報の収集の情熱には頭が下がる思いです。好きなシノーポリでも、私はそこまでできません(そもそもHPの更新も止っていますから)。

それでは、今後ともよろしくお願いします。
1955年にこの曲録音してたみたいです。
早速ヴァイオリン協奏曲第3番の情報も教えて下さって、嬉しいです。
ほんとありがとうございます。

HPはいつもドキドキしながら更新してるのですが、皆様に助けて頂きながら何とかかんとか・・・という感じで。
アーベントロートは現代作品を振るのが大大大好きだったらしくて、このDRAのPDFファイルでは何とUnbekannt(作曲者不詳)のものまでありました(笑)。

また何かの折にお尋ねさせて頂くかもしれません。どうかよろしくお願い致します。
m(_ _)m
Re.1955年にこの曲録音してたみたいです。
どうも、作曲されて間もない頃、それも戦後間もない頃に録音したことは、私の抱くアーベントロートのイメージは、戦前のカペルマイスター的なものでしたので、非常に驚きです。

こちらこそ今後ともよろしくお願いします。
バツェヴィチ《弦楽とトランペットと打楽器のための音楽》
初めまして、近・現代音楽ファンですが、まだまだ修行が足りません。HPは以前から拝見しています。
バツェヴィチは偶々《弦楽とトランペットと打楽器のための音楽》1曲だけ聴いたことがあります。ロイヤル・コンセルトヘボウ管放送録音集の'60年代分にロスバウトの指揮で含まれているのですが、リズム的には(単純な反復も多く)バルトークの《弦チェレ》よりも単純な印象です。

そういえば4月22日奏楽堂でのブーレーズは、亀井良信氏による《二重の影の対話》が凄い演奏でした。あとは演奏としては普通で、また《シュール・アンシーズ》はCDの方が面白いかも(演奏が悪かったというより、ハープが聞こえずピアノが響きにくい書法なので)と思いました。ご存知でしょうが、8月29日にサントリーで再演されます。
Re.バツェヴィチ《弦楽とトランペットと打楽器のための音楽》
どうも、初めまして、それと返事が遅れましてすいません。

「弦トラ」の情報ありがとうございます。このセットは確かブーレーズがノーノを振っているので買おうかどうかで迷っていましたが、バツェヴィッチが入っていたとは気が付きませんでした。しかし、バルトークよりも単純な印象の作品では、まあ見送ってもいいかな?という気分になります。

一方ブーレーズ、4月22日の方は前日の演奏が演奏だったので行く気が失せたのですが、件のCDを聴き、サントリーには聴きに行こうかなと思っています(別会場でのアルディッティSQと同じ日でなかったことを願っています)。

リゲティが亡くなったのにはがっくりときたSt.Ivesでした。
やや時期外れのレスで済みませんが。
リゲティ、亡くなってしまいましたね!岩城氏の訃報も1日違いで来、いずれもショックです。

ブーレーズオケ作品演奏会@奏楽堂には行かれたのですか。私も行ったのですけれど、野平氏のピアノ以外は常設オケでない弱みを感じる演奏でした。アルディッティ@津田ホールは8月31日なので、MUSIC TODAY 21とはぎりぎり被ってませんね。

RCOライヴ集の感想はあくまで素人意見ですが。ちょっと補足しますと、ブーレーズ指揮ノーノ《断ち切られた歌》はあまりパリッとしない演奏で、ゴリゴリのセリー書法に梃子摺っている印象はあります。ただこういうセットは意外なものが良いのが常ですし、たとえばマデルナの振ったヴァレーズとルトスワフスキが鮮烈な演奏だったりなど幾つかの儲けものはあると思います。文字通りクラシカルなレパートリー(《ファルスタッフ》など)の割合が多いので、そういう部分に興味がなければちょっと高いかなという気はします。
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ポーランド楽派ポーランド楽派(ポーランドがくは)とは、第二次世界大戦後のポーランドの前衛的な現代音楽作曲家の総称。「ポーランド楽派」の定義は論者により異なるが、ここでは上の通り幅広く定義する。.wikilis{font-size:10px;color:#666666;}Quotation:Wikip
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