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近現代クラシック音楽愛好家の徒然草。

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2007.02.26 Mon » 新国立劇場 「さまよえるオランダ人」初日

2月25日 午後2時開演 新国立劇場

ヴァーグナー:さまよえるオランダ人

ダーラント:松位 浩
ゼンタ:アニヤ・カンペ
エリック:エンドリック・ヴォトリッヒ
マリー:竹本節子
舵手:高橋 淳
オランダ人:ユハ・ユーシタロ

指揮:ミヒャエル・ボーダー
管弦楽:東京交響楽団
合唱:新国立歌劇場合唱団

演出:マティアス・フォン・シュテークマン
美術:梶尾幸男
衣装:ひびのこづえ
照明:磯野 睦


というわけで(何が?)、「さまよえるオランダ人」@新国立劇場の初日に行ってきました。
当初は3月4日にでもと思ってBOXオフィスまでチケットを買いにいったら、当日券で前の方(1階2列目)があったので予定変更。
歌手はいずれも良い出来でありました。またオケも合唱もがんばっており(オケは楽器がソロで奏するところはとちょっとヒヤッとしましたけど)、非常に満足しました。

歌手では、オランダ人役のユハ・ウーシタロとゼンタ役のアニヤ・カンペがまず挙げられます。出だしが少し不安定だったカンペは、「ゼンタのバラード」に至る頃には復調しており、暗くおどろおどろしいあの歌も絶好調、さらにその後のオランダ人との二重唱は、オランダ人のウーシタロ、オケともども瞠目する歌いっぷりでした。パワー、切れ、安定感は最後まで維持しており、プロフィアルにあるジークリンデも聴いてみたいと思いました。

その相方のオランダ人役のウーシタロ。私は、2003年7月5日にフィンランドのサヴォンリンナ音楽祭における「オランダ人」の題名役で聞いて以来でしたが、其の時の感想を記録から掘り起こすと、

「オランダ人のUuusitaloも、苦悩に満ちた低く、しかしはっきり聞こえる重い声の『語り』で、終わると同時に場内大喝采。ぎごち無く硬い動きと、本当に今度こそ救済されるのだろうかという疑念をはらみつつ歌う様は、よくよく考えれば、単なる彼の大勘違いで悲劇になってしまった話にもかかわらず、最後のシーンでさまよえるオランダ人の絶望という演劇的なもっともらしさを十分に与えるものだった」

というものでしたが、記憶にあるその歌より遥かに出来は良かったです。出だしからフルパワー?と思わせる力強い声、演技、雰囲気を含めて大満足。

準主役の二人、エリックとダーラントも非常に良かったです。まずはエリックのヴォトリッヒ、2004年4月11日のゼンパーで大感動した「ヴァルキューレ」(指揮:シュナイダー、演出:デッカー)でウルマーナ(ジークリンデ)やヘルツリヒ(ブリュンヒルデ)を相手に素晴らしいジークムントを歌った御人であります、素晴らしくないわけが無い。たったこれだけしか歌わんのか、というのだけが非常に残念。

そして、ダーラントの松位 浩。正直に言って、こんなに歌えて、声が通って、演技ができる日本人バスがいるとは知りませんでした。オランダ人、ゼンタとの三重唱でも二人を邪魔しないようにしつつ、十分伍して聞かせてくれますし、嫌らしくない程度に俗物ぶりを示す演技も良い。素晴らしい。今後は注意しておきましょう。

指揮のボーダー。今まで数回生で聞いた感じでは一番印象深かったのは、2004年4月24日のミュンヘンでの「ルル」(3幕版)。かなり柔らかい叙情的な指揮ぶりであったのが印象的でした(演出と美術が相当荒んでいたので、余計に印象的でありました)。2005年6月ゼンパーで「薔薇の騎士」も柔らかな、クライバーの演奏に慣れているとちと物足りない感じでありましたが、本日はあおるあおる、でとてもスリリングで楽しい演奏。でもオケは崩壊しませんでした、立派。一方、あのテンポでは合わせられんよ合唱は、という場面もある中、合唱団は大健闘。例えば後半の宴の場面、幽霊船の乗組員たちが答礼(?)する場面になるやそのテンポは倍速?と思える程に速くなり、振り間違いではないかと思うほどで、合唱団も何とか声がバラバラに崩壊する寸前でまとまっていました。その切迫感も含めて、声がスピーカー(?)を通じて場内を満たすように響き渡るので演出的には非常に効果的。重心も適度に重めで、東京交響楽団と新国合唱団は立派でありました。


なお演出は、上記の部分は結構「ホー」と感心しましたが、他は余計なことはせず、特段の解釈も施さず、邪魔をしない演出でした。まあ、オランダ人はあまり変な解釈をしない方が良い、あるいは難しいと思います。ただ、私の席からオランダ人の肖像画が見えなかったのはちと不満というか気になりました(真ん中より下手側の座席に座らない限り見えないと思われます)。注目の最後のシーンは、まだ見ていない人もいるでしょうから種明かしはしませんが、光は奥から十字で示した方が良かったのではないでしょうか、そっちの方が神の恩寵という感じもしますし、ってそれは「ひばり」を見た後だからでしょうかねえ。


というわけで、初日を見る限りお勧めです。


もう一度行こうかと思ったら、新国から6月「バラ」のチケットが2日分届いていて、もう一度行ったら支払い計画にかなり支障をきたすことに思い至ったSt.Ivesでした。
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comments
この、演出のマティアス・フォン・シュテークマン氏って、夏江・フォン・シュテークマンさんの親類(というかご主人か息子さん??)でしょうかねぇ。

年末のバイロイト(ウェブで聞けるようになった今では死語ですなぁ)のFM放送の時に、脇を固める役として、よく名前をお聞き(お見かけ)していたのですが(夏江さん)。
失礼しました
あ、名前も何も書かずに投稿してしまいました。すみません。上のコメントはワタクシ、ガーター亭亭主のものです。
あら、お会いできなくて残念でした。ウーシタロ、ぞっこんです。他も良かったし、満足です(^o^)
マティアス・フォン・シュテークマン氏について
どうも、ガーター亭亭主殿お久しぶりでございます。パリを満喫しておられるようで、羨ましい限りです。私は今回の記事を書くために過去の記録をひっくり返しては、自分で書いたにも関わらず、あんなこともあった、彼も聞いた、彼女も見たと思い出にふけってしまいました。

さて本題のマティアス・フォン・シュテークマン氏と夏江・フォン・シュテークマンさんの関係ですが、私も実は知りません(少なくともプロファイルにはその手のことは書いていませんでした)。ただ、W.ヴァーグナー氏がわざわざ今回のシュテークマン氏の演出に寄せて寄稿して、太鼓判を押しているので、何となく関係者ではないかと思います。

因みに、彼は91年よりバイロイト音楽祭に参加。新国での「ローエングリン」、「リング」にもかかわり、ロイヤル・オペラでの02年のヴォツェック、04年の「リング」に演出助手として参加(知らなかった)。また、04年には子供のためのオペラ劇場「ジークフリートの冒険」の演出を手がけていたそうです。意外と私も見ていたのかとあらためて思うのでした。

それでは、また。


みなみさん今晩は。

いらっしゃっていたとは知りませんでした。ウーシタロにぞっこんでしたか。聴いたことがある名前だなあと思いつつプロファイルを見て思い出しました。素晴らしい歌手でしたね。上記のガーター亭亭主殿への返信を書いているうちに、白いガウンのような上着を着て歩くさまが、ロイヤル・オペラでのリングのヴォータン(ターフェルが歌いました)を思い出し、ヴォータンも歌えそうだなあと思いましたが、もう歌っているのでしょうかねえ。

それでは、また
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