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近現代クラシック音楽愛好家の徒然草。

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2007.03.06 Tue » 「コペンハーゲン」と「バブルへGO!!」

今週末に、新国立劇場小劇場でマイケル・フレイン作の舞台「コペンハーゲン」を、近くの映画館でホイチョイ・プロダクションの映画「バブルへGO!!」を見た。前者はすべての関係者が死に絶えた時点から1941年9月(あるいは10月)のある1日を振り返り、後者は2007年3月から1990年3月下旬を振り返った(?)もの。


「コペンハーゲン」は重く、暗い。

1932年のノーベル物理学賞受賞、量子論における「不確定性原理」を見出したヴェルナー・ハイゼンベルク──1941年時点ではナチスの原爆開発計画「ウラン計画」の責任者──が、かつての恩師であり1922年ノーベル物理学賞受賞、量子論の大立者ニルス・ボーア──デンマークを占領したナチスの監視下にある──を1941年に尋ねた際、彼らの間で何が話し合われたかを取り上げた作品。この二人に、戦後ハイゼンベルクを批判し続けた辛らつなボーア夫人が絡んで、話は進められる。

原爆開発と原子力発電(原理は一緒)、祖国愛と倫理、真理追求とその結果への恐れ、結果として汚していない手と結果として汚れた手、勝者と敗者、功名心と自負心etc.。原子や電子程の微小な世界では、観測者が関わることで、位置と速度の両者を同時に正確に計測は出来ない(確率的にしか定まらない)、あたかもそれに似たハイゼンベルクとボーアの重たい会話と同じシーンの繰り返し(人間宇宙論のように分裂していく、あるいは「シュレジンガーの猫」のように、ボーア家の扉が開くまでは確定しないのか?)。最後は、世界の中心(観測者である)人が消え、すべてが決定しなくてよい暗闇へと消えていくと、何が話されたかは最後になっても明らかにならないままに終わる。

限りなくセリフのみで進む劇なので、セリフの言い間違いや間の取り方はかなり手痛い、その点でボーア夫人役の新井純はちとそれが多くて緊張感が切れてしまう(特に非常に辛らつなセリフを吐く役だけに余計に目立つ)。ボーア役の村井国夫は好演。セリフの通りも良く、淀みなく法王としてあるいは慈父としてのボーアが浮かび上がる。またハイゼンベルク役の今井朋彦も、予想以上に若々しい声のハイゼンベルクだった──実際のハイゼンベルクも1941年ではまだ38、9歳だったのだが──とはいえ、プライドを持ち、憔悴し、一方で慈父にすがるような感じも仄かに漂わせ、この複雑な役を見事に演じていた。



「バブルへGO!!」は軽く、明るい。

出だしこそ、800兆円を超える国債残高の重みと回復しない景気で2年後には日本経済は破綻するという暗い見通しを、主役の一人阿部寛演ずる財務省審議官が非常に暗く説明する。MOFの中も暗く(それらしくセットを作っている)、重ったるい雰囲気なのだが、主人公の広末が1990年3月に飛んでからは、幸いなことに(無責任だが)、笑えた(「幸いなことに」と言うのは、例えば日本長期信用銀行に勤めていた人には笑えない話だから)。

私はバブルのころは学生だったのでその恩恵は殆ど受けていなかった(もっとも、学園祭で喫茶店を出した際、コーヒー・メーカーが宣伝と引きかえに無償でコーヒー豆を提供してくれたのはその恩恵か?)。しかし、話で聴いたり、そうだったよなあというシーンが幾つもあり、ふとノスタルジーにも浸ってしまった。ティラミスってどうしてあんなに流行ったんだろう?

一応、広末の目的は大蔵省の「不動産向け融資の総量規制」通達の公表(1990年3月)を食い止めに行くのだが、過去に行くことは別としても、過去に行ってそれを説得する手段・方法は頭悪いなあという感じ。それよりも、その当時の様相を再現している方にとかく目が奪われてしまった(なお、無名時代のラモスに、「ドーハの悲劇」の話をするシーンには笑った)。

阿部寛以外の役者については、主役の広末はとても一児の母とは思えないほど若い(設定では22歳だが、もっと幼く見える)。そして広末の母役の薬師丸ひろ子の若作りはちょっと無理を感じた(致し方ないか)。

見終わって、「総量規制」がなければバブルはつぶれなかったのだろうか?という疑問はさておき、本来経済主体の自由な裁量・判断(つまり自己責任)で行われるべき銀行貸出が、お役所の通達一本で止められる世界があったことこそ隔世の感があった。


「バブルへGO!!」に出てきた「週間ダイヤモンド」2007年3月10日号が読んでみたいSt.Ivesでした。
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村井国夫

村井国夫村井国夫(むらい くにお、1944年9月20日-)は、俳優、声優。佐賀県出身。妻は女優の音無美紀子。出演作品 映画 *ワタリ*あゝ同期の桜*日本沈没*小説吉田学校*ゴジラ*虹の橋 テレビドラマ *獅子の時代 (NHK大河ドラマ)|獅子の時代*浅見光彦シリ
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