コンポージアムから戻ったSt.Ivesです。
何はともあれアルディッティSQはお疲れ様でした。右腕の休む暇が殆どない、かつ激しい動きの曲ばかり4曲も弾くのは大変であったことでしょう。ただ、2番の演奏が安全運転っぽいというか、後半のためにセーブ気味であったのは不満でしたけど。
というわけで、本日は西村朗の弦楽四重奏曲ばかり4曲のコンサート@タケメモでありました。
<プログラム>
弦楽四重奏のためのヘテロフォニー(事実上の第1番)
弦楽四重奏曲第2番「光の波」
(休憩)
弦楽四重奏曲第3番「エイヴィアン」
弦楽四重奏曲第4番「ヌルシンハ」(世界初演)
どれもこれもがほぼ最後から最後まで細かい音符で埋め尽くされていて、楽譜をみるとクラクラしてしまいます。作品的にはホケット炸裂(?)の2番がやはり一番好きですが、3番も実演で聴くとCDとは別の豊かな音響が聞こえてきて、実は良い作品だと不明を恥じたのでした。
さて世界初演の4番ですが、ホールに楽譜が展示してあり、事前に眺めてみたのですが、残念なことに見て音がわかるほどの能力は私にはなく、音符の濃淡・密度とテンポだけをおって、意外に古典的な4楽章制の弦楽四重奏曲っぽい感じに思われました。第1楽章、出だしは四分音符88、第2楽章は四分音符48(か46だったかな?)で白丸の音符だらけの中で第2ヴァイオリンが「メロディ」を奏でていました。第3楽章はトリオありのスケルツォっぽい感じ、第4楽章は序奏付のアレグロかプレスト楽章という感じ。また、どの楽章も、第2楽章同様に独奏楽器に伴奏がついているというグールドが怒りそうな雰囲気でした。
さて、第3番「エイヴィアン」が終わると西村自身が登場し、解説。それによると、各楽章は
第1楽章:兄弟をヴィシュヌに殺されて怒る魔人
第2楽章:ヴィシュヌのやさしい面の象徴
第3楽章:ヴィシュヌに帰依した魔人の息子。魔人に追いかけられて殺されそうになる。
第4楽章:ヴィシュヌの化身の人獣ヌルシンハ。魔人を八つ裂きにして殺してしまう。
ということらしく、話を聴くとリストのファウスト交響曲を思い出します。さらに、
第1楽章:第1ヴァイオリン
第2楽章:第2ヴァイオリン
第3楽章:チェロ
第4楽章:ヴィオラ
とそれぞれの楽章ごとに主軸楽器があり、その他は伴奏というか後景的な役割の面も持たせているようであります。
西村本人は冗談を交じりに、年を取り、イメージの枯渇を神話に頼って補っているとか述べていましたが、その説明を聞いてから作品を聴くとまさにそのまんまという感もあり(第1楽章の魔人の主題?が第3楽章で明白に聴かれ、息子役?のチェロと遁走曲っぽい感じで掛け合ったり)、良くも悪くも解説でイメージが固定化されてしまう、「ドン・キホーテ」とか、「イタリアのハロルド」を21世紀に弦楽四重奏で再現したという感じでありました。第4楽章の最後が確か楽譜上では第1ヴァイオリンだけ他の楽器より極僅かですけど終わりが早い(八分休符分だけだったかな?)のは魔人が殺されちゃうからでしょうかねえ。
響きは、第1番から第3番まで聴いた後だと、さすがにあまり新機軸は感じられず(似たような感じの響きになるのは個性が確立しているか、マンネリかは意見が分かれるでしょけど)。とはいえ、手馴れていて聴きやすいという見方もある上に、プログラムに従えば誰でも安心して解釈できるんで、人気は出るかもしれません(でもプログラムで安心して、音を誰も聴かなかったりして)。
明日はコンポージアムに行けないSt.Ivesでした。
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