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どうも、過去のプログラムを引っ張り出してきて感慨に耽ってしまったSt.Ivesです。元帥夫人ではありませんが、時の経つ速さに驚かされてしまいます。
2007年6月9日「薔薇の騎士」@新国 終わり良ければ全て良しと言ってよいのやら、第3幕元帥夫人登場以降が素晴らしかったので、終わってみると満足して拍手を歌手に送ったとはいえ、それまでの出来にはどこか欲求不満を抱えつつ聞いておりました。そういえば、第1幕、第2幕に幕が下り切っていないのに拍手する人が多かったのは何故?余韻もへったくれもないんだけど。 最大の原因は、はなから諦めていたとはいえ、色や艶がなく、切れはなく、ただ音を置いているのか?と思うオーケストラ。最初にホルンが鳴った瞬間、ここはドレスデンでもヴィーンでもなく東京なんだなあと思い知らされ、以後オケの音を聞かずに歌手の歌声だけに専念しようと思うも、ヴェルディやマスカーニやドニゼッティではなくR.シュトラウスではそれは無理な話で、様々な旋律が絡み合い地となり模様となる様を浮き立たせ、艶めかしく、輝かしく鳴り響くオーケストラなしには作品の楽しさ、美しさは大きく減じてしまいます。(面倒くさい)R.シュトラウスをこのオケが弾き慣れていないことが如実に明らかになった演奏でした。 さて、悪いオーケストラはない、悪い指揮者いるだけだ、という言葉が真実なれば指揮者のP.シュナイダーの責任もありましょうか?多分にそうでしょう。彼がもう少し音色面を含めてオケをギリギリ締め上げれば、ムーティの振ったオペラの森管弦楽団並みに良くなった可能性は否定できませんから。ただし、向こうで聞いた限りでは、シュナイダーは良いオーケストラは非常に良く、悪いオーケストラはそれなりに振るという指揮者でしたので、それを知っての上で聴きに行ったので、私にはそこまで求めることは難しいです。新国は、常設のオケを常任の指揮者が常にコントロールしてレベル維持を図っているわけではないので、その責任の半分は東京フィルハーモニーの常任指揮者(誰だ?)にあるのではないでしょうか。 主役の歌手は非常に素晴らしかったです。フィンランド出身の元帥夫人のCamilla Nylund、およそ2年前の2005年6月12日にドレスデンのゼンパーで同役を聞いた時、ラジオ放送で聴いたデノケ、DVDで見たシュテンメに加えて元帥夫人役に相応しい歌手が新たに登場したと喜んだ記憶があります。今回も、かつての大歌手達と同じく第1幕のモノローグ、第3幕の三重唱の声、立ち居振る舞いや表情に、威厳と高貴さがあったことは当然ながら、今だけかもしれませんが、第1幕冒頭には若やぎも聞かれます(第3幕の最後、ファニナルの若者とはこういうものですかなあというセリフに一瞬表情をしかめてから、そうですねと応えていたように元帥夫人は32歳とまだまだ若い)。ドレスデンをバックにこの声で元帥夫人を再び聴けないのは、デノケが歌うのは非常に嬉しい反面、残念な気もします。なお、2年前に比べて腰周りを含めて若干太られたように見受けますが、背丈があるのでかえって立ち居振る舞いの威厳が増したと思います。 オクタヴィアン役のElena Zhidkovaは、ロシア出身。容姿は小柄でほっそりとしつつも声量十分でかなり野太い声でありました。まだまだ他のオクタヴィアン歌手には存在感をもった歌声や演技ではないものの、野太い中にも少し甘えたような響きそしてこのオペラに必要だと思う澄んだ声もあり、将来は楽しみです。 ゾフィー役のスペイン出身Ofelia Sala、第2幕の幕が開いた時、乳母のマリアンネかと思い、ゾフィーを探してしまいました。すこしポッチャリ美人で、フィガロのスザンナとかには似合いそうですが、私のイメージするところのゾフィーとはちょっとずれていました(とはいえ、ベルリンで歌ったVoigtのマルシャリンほどには大きくずれていませんでしたけど)。声はキャピキャピしたところはなく、演技でそうした雰囲気を作り出そうとしていましたが、ちと無理やりっぽい感じ。しかし、オックス男爵が登場して彼に幻滅してからはかえって落ち着いた、自分で物事を決めていこうとする雰囲気に傾いた歌い方でしたし、第3幕でのオックス男爵のあしらい方も、かつて聴いたC.シェーファーのウルトラ・モダンでウルトラ・クールなゾフィーまでは行かないものの、かなり冷静。オクタヴィアンとの二重唱は十分に甘い声で楽しみました。 最後にオックス男爵のPeter Rose。中々に演技も歌も上手く、向こうの定番のリドルのような貴族的な雰囲気はありませんけど、十分聞かせてくれます。ただ、演出で結構損をしていたような気もします。2幕の最後、非常に低い音を当てているのは、やはり眠りに入ったことを暗示していると思うのですけど、部屋から出て行ってしまうとか。 ジョナサン・ミラーの演出は、2003年3月15日にENOで見た英語版とほぼおなじではなかったかと思います(財政難のENOと異なり装置は真新しかった)。感心するところも多かった一方、クビを傾げてしまうようなところも多い演出でした(上記の第2幕最後のオックス男爵。人々の動線、特に登場人物が多くなる時に不自然さを感じます(例えば第2幕のオクタヴィアンがゾフィーに最後の言葉をかけるためにいったん部屋から退去した後で大勢の人々の前を横切って戻ってくるとか)。2幕の大立ち回りがなかったとか、第3幕の幽霊騒ぎはそうは見えないとか(もっとも、幽霊騒ぎ自体の設定がとても変に思えますけど)。そして、設定がゲッツ・フリードリヒ同様に崩壊直前のハプスブルク帝国の時代、1912年(初演の翌年)にしていることはともかく、当時のモダンな女性ということを示そうとしたのでしょうけど、第1幕の最後、物思いに耽る元帥夫人にタバコを吸わせるとは! 来年のことを言うと青髭に笑われるかなと思いつつ、パリ・オペラ座の来日公演演目を眺めているSt.Ivesでした。デュカスの「アリアーヌと青髭」の日本初演!2回しか実演に接していないので行きたいんだけど、お値段が…。
[この記事へのコメント]
「アリアーヌと青髭」なんてやるんですか。
やばいなぁ、長らく封印しているオペラの世界への扉が、再び開かれてしまいそう。 そんなに高いんですか? No.137 2007/06/12(Tue) 00:26[編集]
どうも、CLADさん今晩は。
アリアーヌと青髭ですが、チラシをみるとお値段は S席 58000円 A席 50000円 B席 42000円 C席 34000円 D席 26000円 E席 20000円 です。さらに、東京公演はオーチャードにてというおまけまでついています(笑)。 どうせ行くならば、関西公演(2008年7月の3連休)にでもしようかと思います。もっとも、その前にシュトックハウゼンがどうなるかにも寄りまして、ルシファーも青髭も笑う状況であります。 では、また これから「インド・カレー伝」を読もうかと思うSt.Ivesでした。 No.138 2007/06/12(Tue) 22:32[編集]
アレ、コメントの編集って、できるようでできないんですね。。。
ともあれ、値段の一覧まで書いていただいて恐縮です。最低でも2万って、むちゃくちゃ高いですなぁ。 No.140 2007/06/13(Wed) 23:19[編集]
どうも、CLADさん今晩は
私も今回始めてこのテンプレートを使うので、どんなものか分かっておらず、ご面倒をおかけしてすいません。 それにしてもオーチャードというのがげんなりですが、海外公演向けにディスカウントしているんでしょうねえ、音響の悪さは都内ピカ一なんで、誰も演奏したがらないんでは無いかと想像されます。 私は関西旅行計画に傾きつつあります。 では、また。 No.141 2007/06/16(Sat) 02:31[編集] [コメントの投稿]
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