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近現代クラシック音楽愛好家の徒然草。
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どうも、「ファウスト博士の嘆き」に使われた音列はどんなものだろうかと思うSt.Ivesです。最初に読んだ時は、音響的には「ヤコブの梯子」みたいな作品かなと思ったのですがねえ。



さて、ようやく光文社文庫版で「カラマーゾフの兄弟」を再読了。20年以上前に新潮文庫版で読んだ切りだったので細部の記憶があやふやでしたが、これで残りの人生覚えておけるでしょう。

犯人はやはりカテリーナでした、というのはウソですが、あの事件で一番得をしたのはアリョーシャなんで、ドミートリではないとすると彼が一番怪しくなりますけどねえ。ただ、彼が犯人だとするには越えなくてはならない問題が多い。まず、イワンが法廷に持ち出した3000ルーブルの出所、それをイワンが手に入れた際のスメルジャコフの第3の会見がネックであります。スメルジャコフの自殺については、心神が衰弱している中、「真実の人」アリョーシャが唱えるスメルジャコフ犯人説が町中で流布し、それに耐えられなかったとすれば分かる気もします。町での信用力は、アリョーシャの方が遥かに高いでしょうから。
一方、第3の会見でどうしていきなり神が登場したのかはさっぱり分からず、誰かカリスマ性を持つ人物が、心身衰弱状態の彼にそれを示唆した、刷り込んだのかもしれない。今もってスメルジャコフの告白に至る経緯がいま一つ私には理解できません。いくら法廷でイワンががんばっても、スメルジャコフは、犯罪を犯すどころか、何かしらの行為を働くのは「医学的に」不可能であると医者が太鼓判を押していますし、事件当日の朝の二人の会話から、殺人教唆とその了解があったと説明されても、他人には理解不可能です。

それまで時系列でこまごまと追っていた物語の本線があの瞬間だけスメルジャコフの告白という形のみで過去に向かって語られる「藪の中」状態なんで、真相は永遠に分かりません。さらに、第2部での大どんでん返しに向けて愛する主人公を守るべく作者は、「アクロイド殺人事件」のように、「読者への挑戦」のために本当は書かなくてはならない事実を書いていないと私は感じて仕方ありません。そこで、想像するに第2部ではアリョーシャの本性が明らかになります。北一輝か大川周明か、あるいはクリスティの「カーテン」の犯人かシェークスピアの「オセロ」のイアーゴか、皇帝暗殺事件の真の首謀者として実行犯コーリャをそそのかすんだろうと。その後は、うーむ、病が癒えたイワンが、自分よりも向こうに行ってしまったアリョーシャの本性を新しい「大査問官」の話でアリョーシャ自身に突きつけることで、突然の回心がおとずれシベリアに行くのでは。で、リーザがついていき、そこで大地との一体化のうちに法悦を感じる、って「罪と罰」の二番煎じですな(昔は、イワンがコーリャを皇帝暗殺に向けてそそのかすので、アリョーシャと対決するのかなあとか思っていました)。

ともかく、およそ犯人らしからぬ人物が犯人だった方が推理小説としては面白かったのですがねえ、えっ、これは推理小説ではない、すいませんでした。でもアリョーシャだって「カラマーゾフの一族」ですよ。



これから「カテリーナ・イズマイロワ組曲」でも聞いて寝ようかと思うSt.Ivesでした。
No.286 2008/01/09(Wed) 02:12
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