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近現代クラシック音楽愛好家の徒然草。

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2009.05.05 Tue » 4月28、30日ルル@リヨン

どうも、リヨンの3日間で名物に旨い物無しをまたもや体験したSt.Ivesです。マルセイユまで出張ってブイヤベースに奮発して55ユーロも支払ったのですが、うーむ、別段我が家で出されるものとそう変わらなかった。さらに最初にスープだけを出すので、後から出てくる魚の身は冷めていておいしいものではありませんでした。その点、リヨン市内のブションで食べたエスカルゴとラムを焼いたものは実に美味しかった。

さて、まずは、大野指揮リヨン歌劇場管弦楽団による29日のコンサートについて。

席が1階2列目の右端というコントラバス奏者の背中を見て聞くような位置でもあり、音響バランス等はよく分かりませんでした。さらに曲目も、1曲目がショーソンの交響曲という記憶の彼方にある作品で、聞き始めて、ヴァーグナーのワルキューレを下敷きにしたような曲だなあという具合でありました。かなりの力演だとは思いましたけれども。
2曲目は、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」なので、略。
3曲目は、ストラヴィンスキーのバレエ曲「火の鳥」全曲。これまた実は録音でも殆ど聞かない作品でして、実演すら殆ど記憶にない感じです。とはいえ、楽しく聞けました。
アンコールは、確かビゼーの「アルルの女」組曲からだったでしょうか。弦の音が透明だったのが印象的な演奏でした。

では、通算9回目の「ルル」の簡単な感想です。

4月28日、30日
リヨン国立歌劇場午後7時半開演
ベルク:「ルル」
指揮:Kazushi Ono
演出:Peter Stein
ルル:Laura Aikin
シェーン博士:Stephen West
ゲシュヴィッツ伯爵令嬢:Hedwig Fassbender
アルヴァ:Thomas Piffka
シゴルヒ:Franz Mazura
画家:Roman Sadnik
公爵:Robert Woerle
力業師:Paul Gay
学生:Magdalena Anna Hofmann

両日とも実に素晴らしい上演でした。
リヨンのオケには、例えばバイエルン、ドレスデン、ヴィーンのような匂いたつ官能的な響きや重量感は感じられなくとも、大野の指揮の下、これらのオケで聞いたことがなかったような各声部が明瞭に描きわけられた、マスとしての音響だけでない、個別の楽器の奏でる旋律や和音の絡み合い自体を楽しめました(それにしてもオケ・ピット内は相当うるさいんでしょうねえ、奏者達はしょっちゅう耳栓をしたり、手で耳を塞いだりしていました)。

歌手については、エイキンが歌うルルがとにもかくにも素晴らしかった。少女的な無邪気さとずるさ、自分本位で、他者の運命には無関心、結果として残酷な主役を、跳ねるように踊るように動き回り、口をとんがらせて拗ねるなど年齢を忘れさせるキュートさをみせ、その上で、劇場内に響き渡る高音、硬質であったり柔和であったり、を駆使して歌い、魅了されてしまいました。そう言えば、第3幕の前半の多重唱の最中、ルルが嘆く歌は、殆ど叫びに近い感じで歌い、巨大なオーケストラと歌声の中から突出して響き渡らせていました。ここの部分でルルの歌がはっきり聞こえる録音・ライブを聴いたことがなかったこともあり、特に印象的でした。

他の歌手たちについては、例えば、第3幕最終場のゲシュヴィッツ伯爵令嬢のモノローグから「ルル、私の天使」や、1幕最後の壮絶な痴話喧嘩の果てのシェーン博士の嘆き、同じく第1幕前半でルルと歌い合う画家など、エイキンの歌唱に十分匹敵する聞き応えのあるものでした。

演出と美術については、ベルリン州立歌劇場でのムスバッハ演出に近いと感じた一つの理由は、ルルのヘアスタイルが同じだったこと、そして1幕と2幕の違いはありますが、ルルに振袖を着せていたり、爪先立ちで踊るように歩かせるシーンが多かったことです。ただ、第3幕後半のルルの衣装は、少女性を強調したようなムスバッハと異なり、普通のワンピースでした。
なお、振袖は赤地に金の金魚か鯉が描かれていましたが、このほかにも、第1幕第2場、成功した画家が着ていたガウンは、源氏物語絵巻か何かの絵巻の一部分をつなぎ合わせたデザインでしたし、第2幕でゲシュヴィッツ伯爵令嬢が隠れるのは、金泥の上にアヤメが書かれた衝立などが使われており、どこかしら日本が感じられました(画家は、藤田?っぽいヘア・スタイル、髭、眼鏡でした)。ただ、全体の衣装や美術、小道具類は1920年代前後に設定されていました。

Steinの演出は、オーソドクスでした。究極の突飛さであるコンビチュニー@ハンブルクはともかく、フランクフルトやバイエルンあるいはDVDのチューリヒのような設定や読み替え、奇抜な小道具や大掛かりな舞台機構を使わず、筋立てに従った、非常に素直なものでした。そうそう、ムスバッハ以外にも、シェロー演出のルル@パリの階段上でルルがシェーン博士にヒピストルを向けるシーンを思い起こさせる部分がありました。
演出的に面白かったのは、第3幕、切り裂きジャックが登場すると、殺されたアルヴァが隠された小部屋(ルルは知らない)を覗き込んで、一人納得したような素振りをしたこと、そして第1幕開始の幕開けに使われた、サーカスや様々な見世物興行の宣伝ポスターを張り合わせたようなもので、第3幕終わりの幕が閉じられ、見世物、あるいは「この女についてのオペラ」が終わったことを示した点でしょうか(フランクフルトのように、ルルが興行主から給金を貰うようなことはしていません)。

ただ、第2幕中間の映画は、うーむ、経費節減でしょうか、シーンごとの字幕が表示されていくだけで、具体的な動きのある映像はありませんでした。音楽には集中できますけど、これはどんな風にするか期待していたので、少しがっかりしました。

というわけで、とても素晴らしい上演でした。10月の日本(びわ湖ホール。沼尻指揮、3幕版)の公演も、素晴らしいものであることを願っています。


続いては5月3日はブレーマーハーフェン州立歌劇場のライマンのオペラ「メルジーネ」です。
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