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近現代クラシック音楽愛好家の徒然草。

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2009.05.12 Tue » 5月4日、7日マクロプロス@パリ

どうも、パリ・オペラ座から来た「マクロプロスやっています」メールを眺めながらのSt.Ivesです。ビデオ再生が上手く行きません。

ということで、シュヴィツィンゲンとシュトゥットガルトを飛ばし、シェーファーの「ルチア」を後回しにしてパリの「マクロプロス」雑感。

2009年5月4日、7日午後7時開演 パリ・バスティーユ歌劇場

ヤナーチェク:「マクロプロスの秘事」(タイトルは「日本ヤナーチェク友の会編」のものによる)

指揮:Tomas Hanus
演出:Krzsztof Warlikowski
美術:Malgorzata Szczesniak

エミリア・マルティ:Angela Denoke
グレゴール:Charles Workman
プルス男爵:Vincent Le Texier
コレナティー弁護士:Wayne Tigges
ヴィテク:David Kuebler
クリスタ:karine Deshayes
ヤネク:Ales Briscein
ハウク:Ryland Davies

3幕続けて上演。演出等について最初に書くと、幕間と各幕の前奏曲にはモノクロ映画を流しており、第1幕の序曲はヒッチコックだったのではないでしょうか?多くのパトカーと報道陣が次々と大邸宅に車で乗り込む様子は実に音楽とあっていた。また、デノケ演じるエミリア・マルティをマリリン・モンローとして扱っているので、本物のモンローが来日した際の大報道陣に取り囲まれている様や、映画「マリリンとキングコング」といった映像を活用していました。なお、第2幕では、デノケの容姿はミルヴァを思い起こさせる赤毛にしていました。

オープニングは、映画祭のオープニングか、アメリカの歌謡ショー的雰囲気を出すかのように、輝く青い幕の前で、タキシード姿のヴィテクとグレゴールそしてクリスタの3人が古いマイクの前で歌います。幕が上がると、映画館か劇場のよう い並んだ座席があらわれ、その前の円形の机と椅子に座って引き続き男性歌手二人が歌っていると、座席の中央通路にデノケ演じるエミリア・マルティが登場。通路の下から風が吹き上げて、白いモンローのスカートが地下鉄からの風で煽られる例のモンローウォークを再現していました。ただ、デノケは若干奥まったところで歌うので、声が遠く感じます。

グレゴールが口説こうとする場面では、何故か舞台前面(円卓があったスペース)が男子トイレに変わり、これまた何故か個室トイレ内でデノケは衣装を着替えます。もっとも、すべてガラス張りなので何をしているかが一目瞭然であり、スターにプライヴァシーがないことを象徴しているかのようではあるのですが、何故男子トイレ?

そこにプルス男爵登場。彼はしゃれた感じの黒のシャツとパンツ、それに帽子をかぶり、伊達男のイメージ。息子も空色の紗の服を着ていまるのですが、親の方がしゃれています

この間、エミリア・マルティは強張った動きと吐き気を催すしぐさを示します。

第1幕と第2幕の間をつなぐ映画は、華麗な舞踏会シーン。なんの映画を利用したかは不明。

第2幕、劇場に各登場人物が座り、映画の続きを指差しています。その奥に巨大なキングコング頭と手のひらがあらわれ、そこにミルバのような赤毛に青銀ラメのロングドレス姿のEMが座っています(街中に張られているポスターやプログラムの表紙にはこの姿が使われています)。手のひらからEMが降りると劇ror映画が終了したということで、皆が席から立ち上がり、彼女の傍に寄ります。
すでに前面は男子トイレからバスルームと洗面に変わっており、彼女は歌の合間に風呂で寝こんだり、洗面に吐いたりしています。
グレゴールが登場し、凄い剣幕でエミリア・マルティは首の傷を見せつけながら、「素っ裸にならないわよ」というセリフを歌うのですが、ここでデノケは両胸をはだけていました。すでにバイエルンでのサロメをはじめセミヌードにそうは抵抗感はないのでしょうかねえ。ちなみにデノケの胸は小さいです(薄くはないのですけど)。なお、第3幕の着替えシーンでも胸をさらしていました。

ヤネクが登場すると、エミリア・マルティは黒のショートスカートに着替えます、これ自体は意味不明ですが、しきりに衣装の背中のファスナーをプルス男爵うあヤネクに締めさせようとするので、男性を誘う行為なのでしょう。そこに現れたプルス男爵は思いっきりヤネクを押しのけるので、彼はセットがゆれるほどの勢いで激突していました。7日の公演ではおでこをぶつけて痛そうでした。

プルス男爵との間で手紙と一夜の情事の交換契約の際には、エミリア・マルティはパンティをするりと落とし、それを男爵に投げると男爵はうれしそうにその匂いを嗅いでいました(ここで場内に笑い)。

第2幕と第3幕の間の映画はこれまた不明。一人の女性を数人の刑事やマイクと巨大なテープレコーダーを持った記者が尋問しているシーンで、第3幕を先取りする内容。

前景は、プールサイドと化粧部屋。もちろんシースルーであり、化粧部屋にはモンローの髪型の金髪の鬘、例の白い衣装がそれぞれ二つあります。

情事が終わり、シャツが乱れて、苦々しくタバコをすっているプルス男爵。赤毛のロング・ヘアにバスウェアに身をくるんだエミリア・マルティ。手紙を受け取り喜ぶ最中、息子の自殺で嘆き悲しむ男爵には無関心。遺書を見せられても、丸めてポイと棄ててしまう。なお、第2幕の女中をはじめとしてクリスタがエミリア・マルティの付き人という設定のようでした。そこへ 弁士等3人が乗り込みエミリアの詰問を開始します。

回答前にシースルーの化粧部屋でモンローの格好に着替えるデノケ。プルス男爵はさっきまで苦々しく思っていた相手なのに、何故か尋問シーンでは彼女を庇おうという仕草をします。そして最後、付き人のクリスタもモンローの格好で登場すると、エリナ・マクロプロスは彼女に手紙を渡そうとします。しかしうつぶせに倒れて絶命。この演出では手紙は燃やされません。

いったん照明が落ちて、再び明かりがつくと、デノケ以外の歌手は立ち上がってお辞儀をする中、デノケは絶命した格好のまま。青い幕が下りて、一人ずつ舞台に現れて拍手を受ける段になってようやく登場します。照明が落ちただけでは、急に立ち上がるのは、不自然だということでしょうかね。

歌手については、デノケが何より素晴らしい。エミリア・マルティの様々な顔や気分、性格を生き生きと歌い演じていました。上にも書いた第2幕のグレゴールとの会話での剣幕や、プルス男爵との契約をするシーンには凄みが感じられました。また、第3幕の告白と祈りのシーンは、それと分かっていても、彼女の声と演技のせいでホロリとさせられてしまいます。

準主役とも言えるプルス男爵演じるLe Texierも実に良かった、洒脱なところ、エゴイスティックなところなど、エミリア・マルティに焦点が当てられがちなオペラですけど、十分以上に存在感を持った歌と演技でした。正直、録音やこれまでみた舞台ではここまで彼が重要な役とは感じていませんでした。

演奏については、きびきびとしながらつややかで明るいオーケストラ、金管はもうちょっとがんばってほしかった部分があったものの、素晴らしい演奏でした。実演では「カーチャ」、「死の家の記録」、DVDでは「女狐」を聞きましたが、それだけ演奏してきているだけはあります。指揮については、第3幕後半、若干見栄を切り過ぎて、テンポをスローダウンさせすぎた感はありましたが、全体としては好ましいものでした。

演出については、プルス男爵をはじめ役者の動きや仕草については、フィットしていましたし、幕間や前奏曲の間モノクロ・フィルムを流したのとても良かったです。ただ男子トイレやバスルームは意味不明でした。劇場に拘ったり、キングコングをだす必然性もあまり感じなかったです。
しかし演出・美術・衣装上の最大の成功点は、ムスバッハ演出のヴェルディ「椿姫」同様に、エレナ・マクロプロスもある意味はかない運命の女性として捉え、かつ奔放さを持つ歌手ということから、モンローに擬したことでしょうか。私にはとてもぴったりくる設定でした。

お客さんは、4日は詰まっていましたが、7日はかなり少なかったです。少々ややこしい話なので敬遠したのかな。


なお、舞台写真はまだパリオペラ座のHPでみれるのではないでしょうか。

次は、元祖モンロー歌手?のシェーファー歌う異界の「ルチア」について書こうかと思うSt.Ivesでした。

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comments
連投すみません.シェーファーのルチアはちょっと想像つかないのですが、どんな感じだったのでしょうか?

私自身は2月にアン・デア・ヴィーンで《パルテノペ》を見ましたが、ヘンデルのバカバカしい筋書きをポップに描いたオーディ演出(そのものピーター・セラーズのパクリみたいなやつだったけれど)の中で、不条理性に落ち込む女主人公を実によく演じ、歌っていました.声は確かに太くなっていて、コロラトゥーラの精確さを犠牲にして安定度を取っている感じでしたが、言われなければそう不調という感じでもなく.

でも私の最近のお気に入りは《椿姫》の録画(2007年6~7月カンブルラン指揮@ガルニエ、シェーファー・カウフマン主演)です.一見珍妙なマルターラー演出の洞察力の深さ・鋭さにすっかり恐れ入ってしまいました.DVDが出るらしいので、乞うご期待.
Re: タイトルなし
どうも、

> 連投すみません.シェーファーのルチアはちょっと想像つかないのですが、どんな感じだったのでしょうか?
>
向うで書いたものをとりあえず載せておきます。

> 私自身は2月にアン・デア・ヴィーンで《パルテノペ》を見ましたが、ヘンデルのバカバカしい筋書きをポップに描いたオーディ演出(そのものピーター・セラーズのパクリみたいなやつだったけれど)の中で、不条理性に落ち込む女主人公を実によく演じ、歌っていました.声は確かに太くなっていて、コロラトゥーラの精確さを犠牲にして安定度を取っている感じでしたが、言われなければそう不調という感じでもなく.
>
> でも私の最近のお気に入りは《椿姫》の録画(2007年6~7月カンブルラン指揮@ガルニエ、シェーファー・カウフマン主演)です.一見珍妙なマルターラー演出の洞察力の深さ・鋭さにすっかり恐れ入ってしまいました.DVDが出るらしいので、乞うご期待.

どんな感じでしょうかねえ、これは楽しみです。

それでは、また。
キングコングは美女と野獣の物語のパロディ化という事で…何か説明がついた気がしたのだけれど、忘れました.そういえばパリの《死者の家から》はグリューバーのザルツ版(1992アバド指揮)のリメイクですよね?この人も生で観たい演出家だったのだけれど、亡くなってしまいましたね.

同じヴァルリコフスキ演出による《ロジェ王》が、下記URLで配信されています(8月20日まで).私、これにはなかなか感心してしまいました.大野の指揮、歌手陣を含め音楽的にも充実しています.終演後は盛大なブーイング.

http://www.operadeparis.fr/cns11/live/onp/site/actu/videos/videos_details.php?lang=en&news_id=981&CNSACTION=SELECT_NEWS
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