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近現代クラシック音楽愛好家の徒然草。

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2010.05.30 Sun » ハーン、サロネン、フィルハーモニア(5月30日)

どうも、6月2日のサントリーホールでのコンサートも楽しみなSt. Ivesです。


5月30日(日)午後2時開演 東京芸術劇場

サロネン指揮、フィルハーモニア管弦楽団
ヴァイオリン独奏 ヒラリー・ハーン

曲目
サロネン:ヘリックス
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
(アンコール)
 バッハ:サラバンド
シベリウス:交響曲第2番
(アンコール)
 シベリウス:組曲「ペレアスとメリザンド」より「メリザンドの死」
 シベリウス:組曲「カレリア」より「行進曲調で」
 シベリウス:「悲しきワルツ」


 5月26日発売のハーン独奏のチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲が、必ずしも終演後のサイン会目当てではなく、会場では飛ぶように売れているように見えました。このディスクは、「レコード芸術」6月号の「話題のニューディスク」でも取り上げられていますが、評者の太田氏が若干の戸惑いを持って論じていたように、かなりユニークな演奏で、例えば、映画「オーケストラ!」を観て、血湧き肉躍るような大向こうに受けるようなハデな、あるいはエンターテインな演奏を期待して購入すると、多分がっかりすること間違いないでしょう(かく言う私も最初に聴いた時は、これは何だ?と思いました)。

 ハーンのヴァイオリンは、そうした「パガニーニ的」要素が極力排され、雄弁な弱音を武器に、幽玄で、物憂げで、ハレの時もあるけれど、それすら覚めて距離を置いて見つめているといった趣を感じさせます(さらに細かい音符の動きをおろそかにしません)。例えば第1楽章のカデンツァは、透徹した響きのもと悲愴に、ただし情緒連綿とした嘆きや泣きが入るのではなく、例えば彼女の弾くエルガーのヴァイオリン協奏曲第3楽章のカデンツァのように、どこまでも高貴に聞こえ、第3楽章もオーケストラが雄弁に始めても、それを一歩下がって止めるかのように地霊のごとく重々しく弾かれます。そして、その後も華やかな盛り上がりを自らに禁じるかのように、しかし緊張度だけをやたら高めていく、クリスティーネ・シェーファーの歌う「冬の旅」が近い感じの演奏振りです。

 これを実演でそのままやらてしまい、第1楽章のカデンツァもしわぶき一つ立たない、と言うよりも誰も立てられず、息を殺して聴き続けざるを得ないので、聴いている私は緊張感で気絶しそうでした。一方、彼女は例のごとく、さらりと弾きながら、くるりとオケの奏者の方向いたりして楽しそうでしたけど。いやはや凄い演奏でした。
 

 非常に疲れ果てて満足(満腹)状態で臨んだ後半のシベリウスの第2番。サロネンはかつてシベリウスを嫌っていたらしく、ディスクも5番とヴァイオリン協奏曲(2種)くらいしかなかったと記憶していて、あまり期待していなかったら、こちらもすこぶる面白く、圧倒的な名演でした。
 全体感を強いて言えば、ヴァーグナー・ブルックナー的シベリウス、ただしブーレーズの振るヴァーグナー・ブルックナー同様に鈍重さのかけらは一切なく、細部を丁寧に作り込み、立体的で空間的な広がりのある音響空間、野蛮さすら感じさせる金管の響きと霧のように漂う繊細な弦楽器の弱音を巧みにコントロールした、とてもモダンな音づくりでした。特に第2楽章は、こんな斬新な響きの作品だったか?と見直しました。

 フィルハーモニアを聴いたのは、多分ロンドンでの2005年1月の創立60周年記念コンサート以来で、その頃は、ロンドンの5大オケ+2オペラハウスは、LSOを除けば、日本のオケの幾つかの方が良い演奏をするなあと思っていたので、ここまで機能的・機動的で、緊張度の高く、滑らかな音、特に弱音を出すオーケストラとはついぞ思っておらず、いやはや驚きました。やっぱりオケはシェフ次第なんだねえ。

 ということで冒頭に記しましたように、全く同一プログラムですが、6月2日のコンサートが楽しみです。


 予定に入っていなかった11月のサロネンが振るヴィーンpo.も聴きに行こうと思うSt. Ivesでした。とはいえ、うーむ、2公演ともS席だと7万円か...。
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