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近現代クラシック音楽愛好家の徒然草。

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2010.06.27 Sun » To gild refined gold, to paint the lily.

どうも、Borboudakisのピアノ曲集(NEOS)を聴きながらのSt. Ivesです。


ということで、本日、新国での池辺先生作曲のオペラ「鹿鳴館」を見に行きました。池辺先生がここを読んでいるとは全く思えませんけど、プログラムでくどいくらい自分がいかに演劇に係わってきたかを書かれているならば、本日のタイトルが意味するところで私の感想が尽きていることはお分かりになろうかと思われます。まあ、そんなところでした(ついでに、事業仕分けの対象にならなければよいのですがねえ、という意味もあります)。

さて、演奏については、初日を聞かれた方によると、こっちの方が歌手は良かったとのことでした。確かに声は良く通り、ビブラートを効かせ過ぎて何を歌っているのか分からん歌手は少なく、所作も相応にあり、「劇」としてせまるものはありました(主役はゲオルギュー演じる「椿姫」みたいな出で立ちであったなあ)。


演出については、幾つか見られた集団や謎の踊り(群舞を含む)は、鹿鳴館や「政治」の滑稽さを醸し出したかったのかもしれませんけど、この「劇」には全く持って不要に思いました。その他はとりあえず「新派」──岸田戯曲賞の審査員だけど最近新作あったか?と思う鴻上氏が、初期作品の劇中で盛んにバカにしていたなあ──っぽくしておりまして、可もなく不可もなくという感じ。まあ、プログラムに寄稿した辻井喬の述べるように、三島にとっての明治の美しき思い出である鹿鳴館という感じの舞台美術・衣裳だったかは定かでありません。


そのプログラムには片山氏が池辺論を寄稿しており、例のごとくバッサバッサと整理して論じており、個人的に音楽評論界の竹中平蔵と呼んでいる彼の面目躍如という感じ。

そしてもう一つ面白かったのは池辺先生自身の4ページ弱にわたる自己弁護(?)。先にも書いたとおり自分がいかに演劇にかかわってきたかを延々と書き連ねております。しかし毎日素振り2000回をしたからといってホームラン・バッターや4割打者になれるわけではなく(なれる可能性を高めはするだろう)、それで何ですかという感じ。また、オペラにおける演劇的要素を重視しているとのことで、そりゃ20世紀を超えてそうだと思わない方がおかしいよと思いつつ、だったら台詞を二度歌わせるなとか思うのでした。個人的には演劇的時間進行とオペラの時間進行の最大の違いはセリフの「繰り返し」の有無だと思うんですけどねえ、いやもちろん台詞を延々と繰り返すような演劇もありますが、少なくとも三島では違うでしょう。そして、もう一つ面白かったのは、当作品で自分はこれはやらないあれは採用しないリストでして

1.歌い回しに明確な特徴をつけない。くどくなるから
2.ライトモチーフも使わない。具象的な説明に陥るから
3.「ヴォツェック」のような器楽形式も導入しない。そのことに関心が偏ってしまうから

そして最後に、
4.「ツィンマーマン『軍人達』、ラッヘンマン『マッチ売りの少女』のような現代音楽の先鋭ともいうべきオペラに対し、興味もあるし畏敬の念を抱きはするが、あのような方向で書きたいとは考えないのである。新しい語法、新しい方向への関心を試すなら他のジャンルで、と考えてしまう」

とのこと。最後の4について、多分誰も全くそんなことを池辺先生に期待していないと思うですが。逆に、もし、そうした方向に思いっきり進んでいたら、余命が実はないので一度はじけてみようとしたのか?とか、「知の欺瞞」でも読んで、それを現代音楽界に対してやってみようと思ったのか?とか、良いダジャレがついに思いつけなくなったのか?とか、作品以前に一体何事がその身に起きたかと考え込んでしまいましたよ。

で、結局、その場面場面の解説に重点を置いた「劇伴」に留めておけば良かったのにと思うダラダラとした作品ができたのでした。


これからピアノをメッツマッハー、歌をゲルネによるシューベルト歌曲集でも聞こうかと思うSt. Ivesでした。シューベルトのオペラは、アーノンクールがどんなに力説しても、締まりなくダラダラの、まあ「駄作」の部類だと思うんだよねえ、でも旋律が美しいから良いけどね。
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