4文字33行

近現代クラシック音楽愛好家の徒然草。

2017.06 « 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 » 2017.08

--.--.-- -- » スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2005.12.13 Tue » エマール続き

続き

ドビュッシー:前奏曲集第1巻

熱心なドビュッシー聴きでは決して無く、この曲集もリゲティの練習曲集を聴きに行ったらプログラムに組んであったとか(野平@さいたま芸劇)といった程度。家にも3セットしかない(ミケランジェリ、ヴェデルニコフとポリーニ)。

というわけで、大して演奏については書けないが、テンポを速めに取りつつ、音を濁らせず一音一音を明確に引き分けつつ、タッチの違いで音の絵を描いていく。3曲目の「野を渡る風」の切れが良くてクリアなタッチ、一方で10曲目「沈める寺」においては、低音部を重い意っきり強烈に打ち込んで中音から高音部のクリアながらたゆたう音の水面を崩してゆく。実に美しい、ぼやけていない色彩から構成されたドビュッシー。


ブーレーズ:ピアノ・ソナタ第1番

ものの本によれば音列作法で作曲されていると書かれているが、それを忘れて聴ける曲である。第1楽章は、地上に触れると同時に天に飛び立つかのように、何がしかもの連続性を忌避する音楽は、比較的主題めいたものを把握することがそう困難ではないにもかかわらず、ランダムな音の羅列にも聞こえ、かえって天から地に降り注いで跳ね返って散っていく水晶の粒子のような美しさを感じさせる。若干CDの演奏よりもペダルが多く、ホールのくぐもった音響もあってウェットな音であったが、美しいことには変わりない。

1楽章がルー・マルトーの凍った炎の世界ならば2楽章は、近作のレポンやスール・アンシーズ、デリブ2を想起させる高速運動そのものの音楽化。ピアノ1台だけに単調かと思いきや、(短いこともあろうが)飽きることなくエマールは聞かせる。最近録音されたDGのJumppanenが若干「タメ」のような部分を聞かせるのに対して、まったく躊躇することなくスムーズに進み行く、それはつい先ほどに聴いたドビュッシーの「西風が見たもの」を想起させた。調性の有無を問わせない色彩感と、迫力を伴ったこの曲を実際にナマで聞けたのは幸せなことであった。

シューマン:謝肉祭 op9

弾いている姿や顔の表情が実に楽しそうであり、「スフィンクス」の弾きっぷり一つとっても、演劇の役者のごとく思わせぶりな演奏であった。
出だしの若干ペダル過多で沈滞気味であった音は、途中から徐々に修正され、重力を感じさせない軽妙さ(アルルカン)、ユーモアたっぷりに重々しく(スフィンクス)、時にエキセントリックにまで速くて軽いタッチ(パピヨン、ASCH-SCHAなど)、時に優美(高貴なワルツやショパン)にと曲の性格をやや過剰に反映させて面白く聞かせてくれる。そのピアノはけっしてバタついた感じ、あるいはピアノの鍵盤を叩いているという感覚を与えない。
急速な「休憩」をから引き続いて最後に来た「ペリシテ人と戦うダヴィッド同盟の行進」は、シューマンとも思えない決然たるマーチから徐々にテンポアップし、最近同曲をリリースしたアムランも真っ青なテンポで弾き切ってしまった。やんやの大喝采であることは言うまでもない。

そのやんやの大喝采を受けてアンコール。座るや否や一言「シェーンベルク」。
作品19の2(3は間違い)、5?、6。中々しっとりと弾いていた。ただ、個人的にはポリーニのある種無機質で硬質な演奏の方が好みである。

続いて会場が少し落ちついた中、「ブーレーズ!」と言って、ノタシオン。特に最後にド派手な第2番で閉め、さらにそれをエマールがショーマンシップをたっぷりな弾き方をすることから、余計に会場は沸いたのだった(こんな盛り上がるブーレーズの作品も珍しいが、本人自身がLSOを相手に振った管弦楽曲版のレクチャー付きコンサートでも盛り上がって、2番だけ繰りけ返していたことを思い出した。一方、ロイヤス・フェスティヴァル・ホールで、1番から12番まで真面目に弾いた内田光子は非常に聴衆の受けが悪かった)。

あまりに盛り上げてしまったので、それを冷まそうと「メシアン!」と言って「まなざし」の11曲目「聖母の最初の聖体拝受」を弾く。冴え冴えとした光に照らされながらも温かみのある静謐で緊張度の高い美しい演奏であった。このまま終わらずにいて欲しかったがそうはいかない。最後の和音が鳴らされて一わたり静寂が訪れた後、前にも増して盛大な拍手。

ホール内に照明が燈っても席を離れない多数の客が拍手を送り続けるので、結構疲労困憊気味のエマールは、もう1曲と指を上げて一言「クルターク、パント・マイム!」、そして実に楽しそうに架空の、盛り上げ系の曲を弾いている振りをし、最後に長大な低音から高音へグリッサンドのまねをしてから客席に向ってニコッと笑った。客席からの笑いと拍手の中リサイタルは終了。
スポンサーサイト

« | HOME |  »

comments
comment posting
管理者にだけ表示を許可する

trackback

http://stives.blog15.fc2.com/tb.php/59-6d1ed911

09profile.gif

St.Ives

AUTHOR : St.Ives

No hay caminos, hay que caminar...

09category.gif
09entries.gif
09comments.gif
09trackbacks.gif
09archives.gif
09link.gif
09others.gif

FC2Ad

09search.gif
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。