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近現代クラシック音楽愛好家の徒然草。

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2011.01.01 Sat » マゼールとオーケストラは凄い(12月31日 東京文化会館)

どうも、イザベル・ファウストの弾くシューマンのヴァイオリン・ソナタ集を聴きながらのSt. Ivesです。

ということで「ベートーヴェンは凄い」20100年12月31日の模様をば。

今回初めてベートーヴェンの交響曲全曲演奏会を聴きに行くのは、齢80歳のマゼールが振るからだったが、期待以上に素晴らしい、2月に放映するスカパーに入ろうかという声がチラホラ聞こえていた程に素晴らしく、マゼール節炸裂の演奏であった(なお、マゼールは1988年にロンドンの3つのオケを振り分けて全交響曲を1日で振ったことがあるとのこと)。

主催の三枝氏が、冒頭、「こんな高いチケットなのにもったいない」と言うほど、1番、2番の始まる前は空席が目立ち、4番、3番の回から徐々に埋まり、第7番から大きく増えて、第9番でほぼ満席という状態で、チケットの高さ云々の前に演奏内容的にも実にもったいない。第9番も相応にマゼールらしく面白い演奏だったが、倍管かつ合唱と独唱と相手が増えたためか、それまでの演奏程にはスリリングではなく、相対的に全うかつ立派であったなあという感じ(かつ独唱が今一つ、二つであったことは否めない)。

やはり1番盛り上がったのは第7番、個人的にはカルロス・クライバー来日公演の第7番の驚きと興奮をまざまざと思い起こした。特に第4楽章の狂乱ぶりというか、若いもんや古楽器オケにはまけんとばかりの快速でありながらギシギシとすべての音をきちんと弾かせた演奏で凄まじかった。開演前に三枝氏が3日間18時間マゼールとオケは練習したと述べていたが、よくオーケストラがついていっていたなあと言う感じ。特に2番の2楽章でとちってしまっていたホルンがほぼついていっていたのは、クライバーの時はバイエルンのオケが吹き損なっていたことを思い出し、感心した。

その第2番。2番フリークとしてはオケがでっかすぎるかと思ったのが、全くもって杞憂であり、大きなモダン・オーケストラでもきちんと振れば歯切れよく、軽快、そしてスピーディーに演奏できることを示したのであった。しかし実に凄いと思ったのは第2楽章。この楽章が、後のシューベルトの交響的作品あるいはピアノ・ソナタの第2楽章、中でもD.759やD.936a、あるいはD.959、D.960のそれとの近縁性すら感じさせる楽章であったとはついぞ思っていなかった。ガーディナーとかカラヤンとかアントニーニとか個人的に好きな「2番」演奏家のディスクではついぞ聞いたことがなく、衝撃的であった。先に演奏された第1番の演奏から、して、ゆったりと、しかしうリズムにのった美しい演奏であった──N響主体のオケの響きも美しかった──が、2番はさらに第2楽章一つとっても作品としての格が違うことを如実に感じさせる演奏であった。

そして第3番、雄大な第1楽章の後の第2楽章は、万華鏡のように微妙なニュアンスの差が醸し出すとか、音響を立体的に浮き立たせるにはどうしたかかといった点も特筆されようが、マゼールがここまで荘厳で深い演奏、出す音やテンポの設定という意味ではなくフルトヴェングラーの演奏を思い起こさせるような演奏をするとは思ってもいなかった。個人的には当夜の白眉は第3番であり、仮にそこでコンサートが終わったとしても全く満足して私は帰宅したと思う。

続く第6番、第5番。第6番は、第1番、第2番を思い起こさせる軽めの音で流れるように始まったが、マゼールのによるタメとコントラバス及び第2ヴァイオリンの旋律線・合いの手の強調、ティンパニの決め打ち強打、そしてか細く切れ切れの弦のよってヴィーンの森ではなく、パリのアヘン窟での幻想風景を思い起こさせてしまった(幻想交響曲を続けて聴きたかった)。一方、第5番は、若きマゼールがベルリンpo.を相手に振った演奏(DG)を想起させる颯爽とした、しかしマゼール節満載の演奏。あの演奏の前ではP.ヤルヴィの振ったベートーヴェンの5番もちと霞むなあ。

変わった部分は少ないよう感じられるが颯爽として好ましかったのが第8番と第4番。特に第8番は弦の刻みをしっかりさせるおかげで、チャイコフスキーのように弦の同じフレーズの繰り返しが身に付き、それと全体のある種の軽やかさがアンバランスに感じられる面白さがあったが、そうした点を第4楽章(後半部)の壮麗な楽想につなげていく様が実にみごとであった。


それにしてもN響主体のオーケストラが、あの指揮に良く反応して破綻せずに最後まで演奏していたことに非常に感心した。会場が紅白歌合戦ホール(あるいはオーチャード)ではなく、プログラムが面白ければ会員になるのだがなあ。



ということで、終演後、極めて満足しつつ浅草寺にお参りに向かったSt. Ivesでした。
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