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近現代クラシック音楽愛好家の徒然草。

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2011.12.04 Sun » 一柳の8番

どうも、ここんとこシュールな悪夢で目が覚めるSt. Ivesです。3日連続と疲れる夢であったが、本日はとびきりで、「巨匠とマルガリータ」に出てくるような悪魔が扉を開けて、元の世界に戻るんだと向こうにいった人(昔の上司)が鼠になってしまい、そこを猫に襲われるなんて(そこで目が覚める)。そもそも、扉のこちら側の世界も異様で、私が米国に行っている間(何時行ったんだ?)に日本が思いっきり落ちぶれたのか文化・文明が後退していて、手書きの時代に戻ってて、何故か主要輸出品が(野菜の)カブと鉄道模型(ただしメルクリンの下請け)というもの。一昨日は小林健一郎が指揮するブルックナーの交響曲第9番の4楽章版を聴きにいって強風の中を田舎道を延々と歩いて小学校で展示してある美術品に悩み、川を岩を飛びながら渡る夢だったし、昨日は、クラシックで重厚なホテルの一室で延々と米国人相手に日本語で温泉について議論しまくる夢だったし、今晩は一体どんな夢をみることが出来るのだろうか。

それはともかく、本日の一柳の演奏会

東京シンフォニエッタ2011第30回定期演奏会
一柳慧特集
指揮 :板倉康明
ピアノ:一柳慧
演奏 :東京シンフォニエッタ

・シュトックハウゼン:ツァイトマッセ 5人の木管楽器奏者のための(1955-56)
・一柳:弦楽四重奏曲(1956-57)
・一柳:ビトゥイーン・スペース・アンド・タイム 室内オーケストラのための(2001)
・一柳:トリオ・インターリンク ヴァイオリン、ピアノ、打楽器のための(1990)
・一柳:レゾナンス・スペース クラリネットとピアノのための(2007)
・一柳:交響曲第8番 リヴェレーション2011 室内オーケストラ版(2007)

何故、シュトックハウゼンが?と思ったら、プログラムによると一柳自身にとって一つの事件となる作品だったからだそうだ。まあ、現代音楽史上では高く評価されている作品だからねえ、でも当時はともかく今聴いても全然面白くないんだけど(これが同時期のブーレーズ作品が今聴いても「美しい」のと違うんだよなあ。まあ、細かいクルクルとカールするような音形は好きだけど)。

続いて、一柳の初期を締めくくるという弦楽四重奏曲。導入部以降は複雑怪奇で何をやっているのかよくわからない。聴こえてくる響きは、シェーンベルク・ヴァージョン3.1という感じ。スコア観ながら聴いたら面白そう。

ビトゥイーン・スペース・アンド・タイム、40年近い歳月で響きが全く異なり、とっても耳に聴き易い。ただ、最後のドラはいらないんではないか、ベルクじゃないんだし、あまりに明々白々な終わらせ方でで、昨日のフランツ・シュミットの交響曲第2番を思い起こしてしまった。

続く、トリオ・インターリンクとレゾナンス・スペース。スペース・アンド・タイムのような妙な居心地の悪さはなく、響きも楽器間の間合いも良く、非常に私好みの作品。一柳のピアノも全然押しつけがましくなく柔らかい響きであった。もう78歳なんだよねえ。自作とはいえ指がよく動くねえ。

そして、最後の交響曲第8番。正直フランスに持って行くのは止めた方が良いのではなかろうか、晩節を汚す必要はあるまい。今更ペンデレツキの交響曲第2番のようなネオ・ロマンティシズムな作品を聴かされるとは思ってもなかった、特に最終楽章は、グランカッサが4拍子で延々と執拗に強打し続け、その周囲で他の楽器群がそれぞれ異なる速い音句を延々と繰り返す(アイヴスの交響曲第2番の最終楽章のコーダ部分を思わせる)、そして盛り上がりに盛り上がって、ジャンと終わるのであった。楽譜をみると、「演奏困難」とは言い難く、はっきり駄作と言ってあげないといけないのではないか。「3.11」に触発されたらしいが、変なプログラム性を物語を入れようとしてグダグダの作品になってしまったのかねえ。室内楽版の楽譜は7000円で、当日限定で販売されていたが、どれだけの人が買ったんだろうか。

そして、この交響曲第8番の管弦楽版が、来年8月末に東京都交響楽団によって取り上げられるのだが、出来はともかく、全体の楽想はフル・オーケストラの方があっている感じがする。あわせて、ピアノ協奏曲第5番「フィンランド─左手のための」という作品も初演されるそうな(ピアノは舘野泉)。うーむ、8番、確かにシベリウスっぽい感じの部分もあったが、「ピアノ協奏曲」に引っ張られたか。ともかく、シェーンベルクのそれのような編曲度合いかだけでも確認しに行くとしよう。


来年6月に都響は指揮者クーセヴィツキーのコントラバス協奏曲を取り上げるので、それは聴きに行かねばと思うSt. Ivesでした。
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comments
こんばんは.一柳にとってのツァイトマッセは、ブーレーズにとってのシェーンベルク管楽五重奏曲みたいなものでしょうか?グルッペンを演奏するときに前座でやればいいのではと思ったりしますが、グルッペンが最近実際に組み合わされたのはコズミック・パルスとか自然の持続時間(クラング第3時間)抜粋など近作の方が多いですね.そういえばダルムシュタットで、クセナキスのテレクトールと組み合わせた演奏会の中継(ピンチャー指揮hr響)があってビックリしました. http://liveweb.arte.tv/fr/video/_GRUPPEN3_/

私にとって数少ない一柳体験のひとつとして、一昨年の暮れに篠崎史子さんのリサイタルで初演したハープ+エレクトロニクスの作品は悪くはなかったです.
Re: 一柳ほか
どうも、風邪が抜けきらないSt. Ivesです。薬のせいもありとても眠いです。

> こんばんは.一柳にとってのツァイトマッセは、ブーレーズにとってのシェーンベルク管楽五重奏曲みたいなものでしょうか?

パンフレットにはどう衝撃的であったかは詳細は書かれていませんが、現在に至るまで生涯をかけて追及している時間と空間に関するある表現形式を彼に開示したという意味では衝撃的だったようです。

>グルッペンを演奏するときに前座でやればいいのではと思ったりしますが、グルッペンが最近実際に組み合わされたのはコズミック・パルスとか自然の持続時間(クラング第3時間)抜粋など近作の方が多いですね.そういえばダルムシュタットで、クセナキスのテレクトールと組み合わせた演奏会の中継(ピンチャー指揮hr響)があってビックリしました. http://liveweb.arte.tv/fr/video/_GRUPPEN3_/
>

グルッペンはステレオではやはり今一ですけど、こういう映像が流れるようになったのには時代の進歩を感じます。先に悪夢の話を書いていますが、目が覚めてふとインターネット、PC、CD、ワープロが何時頃登場したかを考えてみて、手書き・手計算の時代がそう遠くない昔であることに愕然としました。手書きの時代などグルッペンをちょっと視聴するなど想像だにできず、「聴いた」という事実だけで幾らでも(というと言い過ぎか)メシが食えたような時代もあったんだよなあという感慨に囚われました。

それにしても、グルッペンとツァイトマッセではちと規模が違いすぎて同時にするという発想が生まれにくいんでしょうねえ。

> 私にとって数少ない一柳体験のひとつとして、一昨年の暮れに篠崎史子さんのリサイタルで初演したハープ+エレクトロニクスの作品は悪くはなかったです.

そうですね、私も室内楽系は好きなんですが、オケになると近作はアマアマになってしまうのは、やたらと楽器があると、どれもこれも使いたくなってしまうんですかねえ。それにしても8番のグランカッサにはちと驚きました。夏に機会があれば是非、「肝試し」ということでお聴きになることをお勧めします(あくまで「肝試し」ですので、無駄足になったとしても悪しからず)。

ではまた。

ところで東京では、1月に都響が《エクラ/ミュルティプル》を演奏するのですよね. http://www.tmso.or.jp/j/concert_ticket/detail/index.php?id=3445 同曲で指揮を杉山洋一氏に交替ということは、野平さんがピアノを弾かれるのだろうか、と思ってみたり(同氏のピアノは、松平頼則ピアノ協奏曲の入魂の仕事で聴いたのが最後).この「日本管弦楽の名曲とその源流」、監修が別宮さんだと取り上げられるのが《ノタシオン》で、一柳さんになると《エクラ》というところがいかにもで面白いですね(笑)2002年版とありますが、楽譜すら出版されていない《ミュルティプル》が改訂されているとは知らず、近年の録音(2007)でも格別気付く事はなかったのでマイナー・チェンジなのでしょうが.最近《墓》初期稿のファクシミリが出版されているのはちょっと欲しかったりします(R.ピアンチコフスキ編、154Eur!).
Re: タイトルなし
どうも、月を時々眺めながらのSt. Ivesです。

> ところで東京では、1月に都響が《エクラ/ミュルティプル》を演奏するのですよね. http://www.tmso.or.jp/j/concert_ticket/detail/index.php?id=3445 同曲で指揮を杉山洋一氏に交替ということは、野平さんがピアノを弾かれるのだろうか、と思ってみたり(同氏のピアノは、松平頼則ピアノ協奏曲の入魂の仕事で聴いたのが最後).

えっ、そうでしたか。気が付かなかった。まだチケットは購入していないんですよね(行けるかどうか分からないし、多分絶対席は空いているだろうという、悲しい現実がありますから)。野平氏は、20日と26日(2台ピアノ)に聴きに行く予定です。ブゾーニとレーガの複雑奇天烈な作品を演奏します。楽しみです。

>2002年版とありますが、楽譜すら出版されていない《ミュルティプル》が改訂されているとは知らず、近年の録音(2007)でも格別気付く事はなかったのでマイナー・チェンジなのでしょうが.

エクラは聴きこんでいる作品ではないんで、マイナーチェンジだと絶対気がつかない可能性があるなあ。

>最近《墓》初期稿のファクシミリが出版されているのはちょっと欲しかったりします(R.ピアンチコフスキ編、154Eur!).

そこまでは、ちと手が出ません。もっとも、もうちとユーロが安くなれば考えるんですけどねえ。

ではでは。


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