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近現代クラシック音楽愛好家の徒然草。

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2012.03.20 Tue » レコ芸4月号を読んで

どうも、お彼岸の墓参りから戻ってエルガーヴァイオリン協奏曲を聴きながらのSt. Ivesです。ズッカーマンの独奏、メータ指揮、イスラエルpo.の演奏です。バックはちと緩いし、独奏は枯れております。


ということで、今月のレコ芸、色々と新年度に向けて連載が終了。特集はベートーヴェンの交響曲全集。これが面白かった。シャイーとティーレマン、モダン&古楽とポスト・モダン&古楽という軸で概ね切り分けられており、月評では取り上げられない膨大な輸入盤についても書かれている。

ちなみに、シャイー盤に対する月評は、10年近く前のラトルの全集(とその後のラトルの他作品の解釈)に対する金子氏の否定的反応から予想通り批判的な物であったが、今回の特集でももかなり金子氏は批判的な言説であった。

なお、個人的には、シャイーの演奏は、性急過ぎる点に疑問符はつくものの、どこに向かってベートーヴェンの演奏は進むのかという期待と不安を伴った未来を示し、私にとっては存在価値のある全集であった(なので、手元に置いてある)。一方、後者は、ミエミエの見得の切り方といいテンポ設定や響きといい懐古趣味以外の何物でもなく、存在価値が全く無い代物──年金生活者向けと言えよう──であった(なので、店頭での視聴とBS放送で見聞きしただけである)。


もう一つ興味深く読んだ記事は、私は未聴のクリヴィヌ盤で使われていると思しき金管楽器類の話であった。ちょうど、ガードナー指揮のベリオ作曲によるレンダリングを聴くついでに他の演奏を聴く中、エア・チェックをしていたブリュッヘン指揮18世紀オーケストラとASKOアンサンブル・シェーンベルクアンサンブルによる演奏を聴き、ふとある考えがあらためて浮かんでいた最中だったので、タイムリーな記事であった。

レンダリングは、シューベルトの交響曲第10番ニ長調 D.960aという番号が与えられているとはいえ、殆どバラバラ状態のスケッチを素材にしている。未完成振りは形式面でも明らかで、第3楽章は、スケルツォ楽章が途中から最終楽章のようになってしまう(「さすらい人幻想曲」の最後の2楽章をより融合させたような感じ)であり、晩年のピアノ・ソナタやD.944(D.849)で、4楽章制かつ最終楽章は「ロンド」に固執したシューベルトからすると、D.729以上に完成していない交響曲である。

ペータースから出版されているギュルケによる交響曲第10番の楽譜には乱雑なスケッチを清書したものが、そしてウニフェルザールから出版されいているベリオのレンダリングの楽譜には、ベリオがどの分を用いたかが小楽譜で併記されており、ベリオが、シューベルトのスケッチから何をピックアップし、整理して書きあげたかが分かる。ブリュッヘンは、そのシューベルトの素材にかなり依拠して書いてある部分を18世紀オーケストラに、ベリオ自身が「セメント」と呼んでいる部分をAKO・シェーンベルクアンサンブルに担当させている。つまり、楽器の音色(ティンパニすら違う)、ピッチもそして調律も違うオーケストラが併用されている。この結果、接続部分では他のレンダリングの演奏では聴かれない異様な音が聞こえる。

さて、古楽の時代が到来しつつあった中、かつ1989年に世界初演を振ったのがアーノンクールであったにもかかわらず、ベリオはこういうブリュッヘン的な演奏形態や、シューベルト時代の響きの再現を想定していなかっただろう。
しかし、特段楽譜上にピッチも音律もヴァイオリンの弦の材質についても指定されていない(楽器の配置も書かれていない)。ならば、ブリュッヘンからさらにもう一歩進んで、シューベルトの部分に依拠してすべて古楽器で演奏してもよいのではないかとあらためて思ったのだった(調律も平均律を採用しない)。ライリーのIn Cを古代中国の楽器で演奏する録音があるくらいだったら、レンダリングを古楽器で演奏してもおかしいことはないだろう。ただ、シンプルなIn Cと異なり、シューベルト存命当時の楽器でベリオの部分を演奏できるのだろうか?という疑問が残った中、レコ芸に短いながらもその当時の金管楽器の機能的限界やそれを克服するための技術的可能性(複数の演奏者の準備も含めて)が書かれていた。かなり多数の熟練した金管楽器奏者が必要だが、何となく出来そうである。


それでもシューベルトの時代には無かったチェレスタをどうするのかという問題だけが残り続ける。目立つんだよなあ「セメント」の部分でこの楽器の響きが!


さて、8種類余のレンダリングの録音物(エア・チェックは除く)中のベストの演奏はどれかねえと考えているSt. Ivesでした。やはりシャイーかな?
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