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近現代クラシック音楽愛好家の徒然草。

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2015.08.01 Sat » 小説で読む20世紀音楽史 リチャード・パワーズ著「オルフェオ」

どうも、ということで、リチャード・パワーズの小説「オルフェオ」を読み終えたSt. Ivesです。非常に読みやすく、面白く、特に、いわゆる前衛だけでなく、「社会主義リアリズム」も含めた広い意味での20世紀音楽史と実際の歴史を重ね合わせるとスリリングで、一気に読んでしまいました。実在の生きている演奏家で言及されるのは、レヴァインだけなのはなぜ?と思ってしまったけど(ファンなのかな?)。

以下若干のネタバレあり。

聴衆のいない、誰にも聴かれない音楽は成立するか?小説の途中で、ライヒの作品の歌詞でさりげなく言及されるヴィトゲンシュタインの私的言語論と同様の問題への回答は、小説を読んでくださいなという感じ。閉鎖的・カルト的な現代音楽愛好家にとっては示唆的な小説。もっとも、クラシック音楽の聴衆自体が閉鎖的・カルト的なデュオニソス的集団かもしれないけれど。

さて、小説の始まる前、パワーズは、メシアンの「時のおわりのための四重奏」成立状況についてレベッカ・リシンの著作をもとにしたと記していますが、これは、アルファ・ベータ社から出ている「時のおわりへ」のことでしょう。これに限らず、さまざまな作品、音楽史上のエピソードが小説の内実に結び付けられながら語られています。もちろん、アイヴズの交響曲第4番もちらと言及していますけどね。でも、混沌への回帰ではないのだけれど...。ちなみに若い頃の主人公の夢は、リゲティに成り代わってリゲティの「レクイエム」を作曲することだったそうです。

アイヴスついでに、主人公が、生まれた頃からカーターを聞かせれば、それに感動するような子供になるんだろうか、といった述懐がありました。答えはイエスでしょう、アイヴスの受けた教育を考えれば。もっとも、感受性は人によって違うからなあ、私の中学・高校の音楽教師が、授業中にベルクのヴァイオリン協奏曲を聴いて感動するなんて訳がわからんと述べて、そっちのほうが訳がわからないと思ったよなあ。まあ、その教師は、ショスタコーヴィチの交響曲はどれが良いか生徒に質問して、4番、9番、13番、14番といった声が返ってきたにもかかわらず、5番を授業で流したような人だったからなあ。

最後に、帯にある細川周平の「ショスタコヴィチから」という言葉は、作中の重要なエピソードからすると「マーラーから」のほうが良いんじゃないかと思うんですけどね(裏帯にはそう書いてある)。

翻訳者が後書きで触れている、似たような主題でより複雑な構成・内容の「黄金虫変奏曲(ゴールドバグ・ヴァリエイション)」の翻訳はいつになったら出るんだろうかと半ばあきらめているSt. Ivesでした。次のグールド記念年までにはお願いしたいものだが。



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