4文字33行

近現代クラシック音楽愛好家の徒然草。

2017.06 « 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 » 2017.08

--.--.-- -- » スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2015.10.04 Sun » 10月4日 二期会「ダナエの愛」@東京文化会館

どうも、なかなか土日にコンサートにいけない中、本日はめずらしく暇ができて、3つのオペラ・コンサートのうちさてどれに行こうかと悩んだSt. Ivesです。

結局、「復活」はテレビで見られるはずなので、二人のリヒャルトの黄金伝説のどちらに行くかと考えて、初台は来週以降もチャンスがあるかも、ということで実演・録画・録音で見聞きした記憶がないシュトラウスのオペラ「ダナエの愛」に行きまして、これが実に良かった。作品としては、晩年だしどうかなと思いきや、最後のオペラと思って作ったのかかなりの力作。「英雄の生涯」のオペラ版かと思うほど自作の回顧的様相にj加え、オーケストラもブ厚く盛大に鳴るし、主役歌手は3人とも「エレクトラ」張りに歌わされる。その一方で、第3幕、「影のない女」のようにお互いを呼び合って愛を確かめ合う二人で終わるかと思ったら、「アリアドネ」のごとく突然コミカルシーンに転換するし(クリムトの「ダナエ」を思わせるユピテルを忘れられない4人組は、アリアドネの4人組か無口な女の劇団員を髣髴とさせるなあ)、もっともそのきっかけのメルクールの登場シーンの演出は、爆撃後の惨状のような舞台に、放射線防護服に検知器を持ってでてきて、ギョッとしましたけど。もっとも、台本はいささか冗長で、第2幕の最後、ユピテルの怒りと呪いはほぼ同じ時刻頃に初台で呪っている小人さんの方が簡にして要を得た凄みがありましたけどねえ、ユピテルのお怒りのほどもヴォータンの方が激しいかと思いますし(怒りの理由はどちらもしょうもないけど)。そうそう、怒りのシーンでは背景が赤くなったのでローゲかと思えば、メルクールでした(「使者」ですから呼べば時刻どおりに来ると言っていました。ローゲはなかなか現れないけどねえ)。

でも、意外に良い作品かもと思わせた理由は、歌手と指揮&オケと演出と美術が良かったからでして、歌手、主役級が3人、でずっぱり、歌いっぱなしのダナエの林は、最初はとらえどころがないというか何を歌っているかさっぱりわからんほどでしたけど、どんどん良くなり、ここぞと言うときの高音も外さない。特に音楽も舞台も動くのはミダス(福井)登場あたりからですけど、思うに福井の歌唱が全体を引っ張っていったかも。そしてミダス王ではなく主役はヴォータンではなくユピテルだったと思わせる第3幕の長丁場を歌う小林、第1幕の船からの登場シーンは、あれ?と思うほど音程が乱れていたけれど、その後は見違えるほど良くなりまして、第3幕、どうみても「ジークフート」のさすらい人の格好(もちろん槍あり)で登場して、ローゲのようなメルクール(放射線防護服を脱ぐとなぜか手術着、ウォーナーの作ったワルハラ病院にでもこっそり勤務しているのだろうか。メフィストはギリシャや南のことは管轄外と言っていたが、本家は北も南も関係ないのか)にそそのかされてダナエにアタックしてまた振られて、自分で槍を折ってワルハラではなくオリンポスに諦念をもって去っていく様は、歌だけでなく演技も冴えておりました(すでに、舞台は「黄昏」後でしたけど)。そうそう、北の主神は神々の終わりを恐れながら"Das Ende"と歌うのに、南の主神はなんと、「老人」とダナエに言われ"Das Ende"と歌っていました、笑ってしまいました。

「さすらい人」に限らず、演出・美術もリヒャルトの自作回顧ともう一人のリヒャルトを意識したものでした、たとえば、ミダス王からダフネへの求婚の証を届けるシーンにそれまでの19世紀末から20世紀初頭風の衣装の中にロココ調の格好をした少年(黙役)を登場させるかと思えば、箱の中から「金のバラ」が出てくるとか、ダフネのように木に花(バラ)が咲くとか、演出ではないけど、アラベラの一杯の水を思わせるシーンとか。あの空爆後の廃墟と思しき場所での水は格別だったでしょう

1944年の初演後、齢八十のシュトラウスは、ヴィーンフィルに対して、「次はもっと良い世界で会いましょう」と語ったそうだが、自分の晩年、またこのオペラを見た後に同じ言葉を言うことがないようにこれからが正念場だと思うSt. Ivesでした。
スポンサーサイト

« | HOME |  »

comments
comment posting
管理者にだけ表示を許可する

trackback

http://stives.blog15.fc2.com/tb.php/793-1c89c1cf

09profile.gif

St.Ives

AUTHOR : St.Ives

No hay caminos, hay que caminar...

09category.gif
09entries.gif
09comments.gif
09trackbacks.gif
09archives.gif
09link.gif
09others.gif

FC2Ad

09search.gif
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。