という訳で、読了。奇妙奇天烈な解読不能の文字と絵で構成された本を巡る人物や歴史の本でありました。当然ダ・ヴィンチの名前もちらと出てきますけど、彼と同じくらい変っていたロジャー・ベーコン(シェークスピアの真の作者であるフランシスではない方)とディー、そして暗号が主役の本でした。
この写本の挿絵を見てパッと思いついたのは、オリバー・サックスの「偏頭痛大全」(早川書房)で紹介されていたヒルデガルト・フォン・ビンゲン、史上最初の名前が分かっている作曲家の描いたイメージ図。本書でもそういった偏頭痛持ちの人の作品の可能性にも言及されていたのでした。
なお、イェール大学の図書館のウェブでもカラー写真が公開されているので、ご興味がある方はごらん下さい。
ここ特に1006196あたりからが素っ頓狂な絵が見れます(多くの植物の絵も変ですし、文字もおかしいのですけど)。
さて、この本の終わりのほうに、これに基づいて作曲した人がいるというので、どんな素っ頓狂な作品で、そんなもの聴けないだろうなあと思ったら、おなじみのレーベルが出していました。
ハンス・ペーター・キュブルツ
混声合唱とオーケストラのための「ヴォイニッチ・サイファ写本」
KAIROS 0012152K
どんな作品かは同書によると、以下の通り。
「ある批評家によれば、彼は『コードをとこうとする学者達の試みに由来する数字の列と、またチュレブニコフによる「未来古代的」「星の言語」の詩をならべる』。とはいえ、水の流れる音とか、女声合唱により化け物じみた甲高い叫びのような声は彼の独創ではない。先の批評家によれば、『これは合唱と器楽のアヴァンギャルド的コラージュの典型であって、その純然たる音が魅力的であると同時に、間違いなく聴く者を当惑させることを意図している』」。
そうであります。
週末に新日po.のコンサート(この写本に相応しいプロコフィエフの「火の天使」に基づく交響曲第3番です)の帰りにでも探そうかなと思いつつ帰宅してみると、楽譜がベルリンのRIDELから到着しておりました。ベルリンに行く度に寄っていた店に遠く日本から簡単に楽譜を注文出来るようになったとは、と感慨にふけりつつ、店頭に行かないとダラピッコラの「夜間飛行」や「ウリッセ」の楽譜は買えなかったもんね、とも思うのでした。
「楽譜なので取り扱い注意」と書かれた油紙で丁寧に包装された小包を開けると、楽譜の角が折れないようにプラスチックが当てられていました。素晴らしい、これまでこんな風に丁寧な梱包をした楽譜店はありません。
そしてシュナーベルの交響曲第2番の楽譜が登場。探し始めて早10年、ようやく入手出来ました。実に分厚いなあと思ってその下にある楽譜を見て、「あちゃー」。
またもやシュナーベルの弦楽四重奏曲第5番のパート譜でした、こんどこそ間違いなくスタディ・スコアを頼んだはずなのに...。弦楽器の類は全く弾けない上に、パート譜が2セットあってもしょうがないしなあ。
ほかにもダブった楽譜が幾つかあるので年度末大処分といかねば。
これから戦う書評家豊崎由美の「そんなに読んで、どうするの?」(アスペクト)を読み始める予定。日本の各文学賞をぶったぎったように面白いことを期待。